私たちがつらい気持ちになっているとき、同じことを繰り返し考えていることがよくあります。
専門的に「反すう」と呼ばれている状態です。
「反すう」という言葉は、牛が食べ物を口でかみ砕いて胃に送り、また口に戻して噛んでから胃に送るということを繰り返す状態を表現するために使われる言葉ですが、それとまったく同じことが頭の中で起きていることからこうした表現が使われています。
牛の場合に食べ物がなかなか胃から先に進まないのと同じように、こころの反すう状態のときには考えが先に進みません。
そのために、問題を整理して解決していくことができなくなって、精神的につらくなってくることになります。
逆に言えば、精神的につらい状態が続いているときには、反すうが起きていないかどうかをチェックすることが役に立ちます。
この「反すう」に目を向けた認知行動療法の研究を続けている慶応大学の中川敦夫先生によると、「反すう」への対処は、まず「反すう」が起きていることに気づくことから始まります。
そのひとつの大切な手がかりが、それまでの作業の進み具合です。
本を読んでいたはずなのに最近の悩み事が頭に浮かんで、本の内容が頭に入ってこなくなるなど、それまでしていたことが止まってしまっているときには「反すう」状態になっている可能性があるので、要注意です。
あれこれ考えて悩むことが多い人は、自分がしようとしていたことがスムーズにできているかどうか、折々に振り返ってみるようにします。
もちろん、問題があるときに、対処法について可能性をあれこれ考えることは意味がありますし、大切です。
しかし、せっかくの考えが「下手な考え、休むに似たり」の下手な考えになってしまうのでは意味がありません。
下手な考えかそうでないかを判断するには、自分の行動と考えの内容をチェックすると良いでしょう。
それまでしていたことがストップしたり、考えても新しい手立てが見えてきていなかったりするときには、「反すう」状態に入り込んでいる可能性が高いので、考えを少し止めるようにします。
そのとき、どのように考えを止めて先に進んでいくようにするかについては、次回ご紹介することにします。
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