こころトーク

2018.05.11

第137回 「『不安』はあって大丈夫。その大切な役割とは?」

不安の生かし方をテーマにした『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)が出版されました。

不安を感じることが必ずしも良くないことではないというのは、「こころトーク」で繰り返し紹介してきました。

まだ私が駆け出しの精神科医だったころに聞いた話があります。

不安を和らげる薬「抗不安薬」が開発されたとき、これで私たちは不安から解放されると喜んだ人がいたそうです。

それを見たある有名な精神科医が、私たちが不安から解放されることは決してないと言ったといいます。

認知行動療法の考え方では、不安に限らず、マイナス感情は、何かこころに影響する問題が起きていることを伝えるアラームです。

不安を感じるのは、自分に危険が迫ってきている可能性があるということを、自分のこころが伝えてくれているのです。

もし、そうしたこころの装置が働かなければ、私たちは、危険な状況に足を踏み入れてしまう可能性が高くなります。

ですから、自分を守るためには不安を感じることが必要ですし、不安を感じたら、まず立ち止まって問題がないかどうか確認してみる余裕を持つことが必要です。

ここで「余裕」と書いたのは、そのときに焦らないようにしてほしいからです。

私たちは、「危険だ」と考えると、早く対応しなくてはならないと考えて焦ってしまうことがよくあります。

そうならないためには、不安を感じたときにひと息入れる余裕を持つことが大切です。

もうひとつ、危険を大きく考えすぎないように気をつけましょう。

私たちは自分を守ろうとして、危険を大きく考える傾向があります。

専門用語で「破局視」と呼ばれている考え方で、極端な場合には「大変なことが起きてしまった」「もうダメだ」と考えるようになったりすることさえあります。

そのように考えるようになるのは、問題を軽く考えすぎていると後で取り返しのつかないことになるのではないかと、心配になるからでしょう。

もちろん、問題を軽く考えるのは良くないことが多いのですが、逆に危険を大きく考えすぎると心や体がかたまって、思うように力を出すことができなくなります。

そうならないためには、自分の力を信じることが大事です。

その具体的な方法についても今度の本で紹介しましたので、参考にしてください。

●大野裕先生新刊
『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/426212360X/cbtjp-22/

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