こころトーク

2018.05.18

第138回 「『考えを切り替える』の誤解」

先日、私が運営する認知行動療法活用サイト「こころのスキルアップ・トレーニング」の利用者の方からご質問をいただきました。

人から理不尽なことをされて腹が立って、考えを切り替えようとしても切り替えられないとき、考えを切り替えて気持ちを楽にするにはどのようにすれば良いだろうか、という趣旨の質問でした。

質問欄に私の回答を載せましたが、とても大切な質問なので、ここでもう一度考えてみたいと思います。

まず、「腹立たしさを何とかしたい」という気持ちについて考えてみましょう。

ご質問いただいた方は、誤解して怒られたことに対して腹を立てていらっしゃいました。

これは、誰にでもよく理解できるごく自然な感情です。

一方的に誤解されて怒られたら、「ひどい」と思うのは当たり前でしょう。

先週も書いたように、不安や怒り、落ち込みとったマイナス感情は何か問題が起きているというこころのアラームです。

ですから、こうしたネガティブな感情をすぐに変えることはできませんし、変える必要もありません。

大切なことは、怒りの感情に振り回されないで、その感情が何を伝えようとしているかに耳を傾ける余裕を持つことです。

この人は、そんなひどいことをしたのだから謝ってほしいと考えたとおっしゃっています。

認知行動療法で考えを切り替えるというと、「ひどい」と考えたその考えを修正することのように誤解されることがあります。

しかし、そうではありません。

「ひどい」ことをされたときに、そのように判断して腹が立つのは自然なことです。

ただ、そのときに、
その考えにとらわれてしまうと先に進めなくなります。

そうしたときには、何を「ひどい」と判断し、自分としてはどのようになってほしいと考えているのかを確認して、自分が期待している方向に進めるように工夫する。

それが認知行動療法でいう、しなやかな考え方です。

この人は、相手の人に自分を傷つけたことに気づいてほしいと考えたのかもしれません。

もしかすると、お互いに傷つけ合わないですむ、良い関係を作っていきたいと考えている可能性もあります。

その思いがどのようなものであっても、もう一度、そのときの自分の考えを振り返って、相手の人にどのようになってほしいと自分が考えているのか確認することができれば、自分が次にどのように行動すれば良いかが見えてきます。

その工夫については、状況分析やアサーション、問題解決技法などがあり、同サイトにいくつか代表的なものを載せていますので参考にしてください。
 

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