こころトーク

2018.07.20

第147回 「危機的状況と自分にできること」

西日本の豪雨被害が広がっています。

私の出身地の愛媛県南部も洪水被害にあっています。

命を落とした人はもちろん、怪我をしたり住居が浸水したり、幹線道路や線路が不通になったり、酷暑のなか多くの人が苦しい思いをしている様子が報道されます。

皆さん、精神的に大きなストレスを感じているのが分かります。

自然災害の前には、人間一人ひとりの力など取るに足らないと思えます。

2011年、東日本大震災のとき、私はそうした無力感を覚えました。

私自身が被害にあったわけではありません。

しかし、被害にあった人たちの姿を報道で見て、自分のしていることに自信を持てなくなったのです。

「こころトーク」もしばらく書けなくなりました。

被害にあった人のこころの痛みの大きさを考えると、私が書くことなど何の役にも立っていないように思えたのです。

ところがあるとき、ある人から、私の書いた文章でこころが軽くなったと言っていただきました。

その言葉を聞いて、私は、自分が背伸びをしすぎていたことに気づきました。

震災や豪雨による被害など、危機的な状況に出会うと、自分が頑張らなくてはならないと考えます。

その気持ちは大事なのですが、あまりその気持ちが強くなりすぎると、つい背伸びをして、自分の力以上のことをしないといけないと思ってしまいます。

災害の大きさ、そして自分の思いの強さとくらべると、自分にできることがひどく小さく思えます。

そのとき、復旧、復興に力を合わせている人たちの姿を見て、一人でできることは限られていても、その力を合わせると大きな力になるのだと気づきました。

私が書くことにもそれなりの意味があるかもしれないと考え直して、「こころトーク」をまた書き始めることができました。

目の前の問題に目が向きすぎて、冷静に問題に対処できなくなるのは、大災害の時に限ったことではありません。

そうしたときに一人で頑張りすぎずに、お互いに他の人の力を借りながら、自分の力を最大限発揮できるようになることが大切です。