こころトーク

2018.08.17

第151回 「月刊『武道』連載のきっかけ」

先週、月刊誌の『武道』に連載を開始したと書きましたが、あまり聞いたことがない『武道』という雑誌になぜ連載をすることになったか、疑問に思った人もいるでしょう。

以前「こころトーク」に書いたことがあるのですが、私は高校時代から空手を始めました。

大学に入ってからも体育会の空手部に所属していて、その時のある種の挫折体験を、日本経済新聞で連載している「こころの健康学」で書いたところ、月刊『武道』の編集者の目に留まって、2年間の連載を始めることになりました。

高校時代に空手を始めた理由ですが、今思うと、劣等感を何とか克服したいと考えてのことだったのだと思います。

今は普通の体格ですが、中学生までは身長が極端に低く、貧弱な体型をしていました。

勉強のできも悪く、成績は最下位あたりをウロウロしていました。

実際に、何度も最下位になったことがあります。

こうしたことから、私は、こころの奥底に劣等感を抱えるようになったのだと、自己分析しています。

その劣等感を克服しようと考えたのでしょう。

たまたま通りがかりに目にした空手の町道場に入門することになりました。

その頃には身体も人並みに成長していましたし、運動能力は人並み以上にあったようで、少しずつですが空手も上手になっていきました。

そして、大学に入ってからも体育会の空手部で空手を続け、武道館での大会にも出場することができるほどになりました。

このときの体験は、その後、精神科医としての私の姿勢に大きな影響を与えました。

私たちはこのように、思うようにいかない状況に置かれると、自信がなくても、何とかそこから抜け出そうといろいろ工夫するものです。

精神的な悩みを抱えて生きている人たちも、自分なりの工夫をしていて、それをうまく生かすことができれば、悩みから抜け出していくことを、私は精神科医として何度も体験しました。

その思いを伝えることができればと考えて月刊『武道』の連載を始めたのですが、いざ始めてみると結構大変です。

それなりに空手を習ったことがあるといっても、達人からはほど遠い腕前です。

「武道は・・・」と、大上段に振りかぶって何かを言うこともできず、毎回テーマ探しに頭を悩ましています。

しかし、このユーストレスを活かそうと自分に言い聞かせて、毎月の執筆に取り組んでいます。

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