こころトーク

2018.10.12

第159回 「苦しみから抜け出せないと感じたときに」

この「こころトーク」でも紹介しましたが、先日、シエスタラボという非営利団体の講演会に呼んでいただいて「こころを元気にする10のヒント」というタイトルで話をする機会がありました。

講演の後は、主催者の藤本明子さんの司会で、もう一人の講演者の澤登和夫さんと一緒に、参加者の方からの質問に答えるコーナーです。

じつは、藤本さんも澤登さんもうつ病の体験者で、澤登さんが『人生をやめたいと思ったとき読む本: マンションから飛び降りたぼくがあなたに贈る 生きる力がわいてくる30のメッセージ』(東洋経済新報社)を出版したときに藤本さんに取材して以来、このような活動でお互い協力し合うようになったそうです。

このような深刻な体験をした二人だけに、質問コーナーでの参加者からの様々な悩みに対するコメントは、体験に沿った具体的で実践的なものでした。

質問のなかには、産後うつで悩んでいる参加者からのものがありました。

出産後、うつ病にかかって苦しい毎日が続いていて、この苦しみから抜け出せないのではないかと絶望的になっている方のようです。

その方に対して、私は、藤本さんと澤登さんといううつ病を乗り越えて自分らしく生きている人たちが私たちの目の前にいるという現実を見てほしいと話しました。

たしかに今はつらいし出口が見えないかもしれないが、自分で将来への扉を閉ざさないでほしいと考えたからです。

産後は、新しい子どもが家族に加わって環境が大きく変わります。

出産をすると、母親の身体に変化が起きます。

ホルモンが急激に変化し、体型も変わります。

心理的にも、きちんと子育てができるかどうか不安になります。

このようにストレスだらけの状況で苦しくなっているのですが、そうしたときに一人で頑張りすぎないことです。

環境は、夫や他の家族の手助けを受けながら変えていくことができます。

出産直後の身体の変化は、次第にもとの状態に戻っていきます。

子育ても、他の人に相談をしながら進めていけば、スムーズにできるようになります。

状況は変わっていくのです。

こうした話をしながら、私は、今がすべてだと思わないで、他の人の力も借りながら少しずつでもできることを積み重ねていけば、今の苦しみが和らいでくる可能性があるとコメントしました。