認知行動療法は好奇心を大事にするアプローチだと前回書きましたが、そのことについて、もう少し解説します。
認知行動療法では、とっさの判断に縛られないで、いま何が起きているのか、何かほかに手立てはないのか、現実に即した的確な判断をすることができるように手助けしていきます。
このときに大切になるのが、関連する情報をできるだけ多く集めることです。
私たちは生活のなかで、次々と判断をしながら生きていっています。
ただ、私たちは、それをいつも意識しているわけではありません。
ほとんど意識しないまま判断し、行動しているといった方が正確でしょう。
とくに、慣れた仕事をしているときや道を歩いているときなど、ごく日常的なことは意識しないで行動しています。
このような「自動運転モード」で毎日を送る方がずっと効率的だからです。
そのような行動をしているときに、どのような判断をして何を考えているか、それが適切かどうかを意識しているようだと、いくら時間があっても足りません。
ところが、何か良くないことが起きたときには、どのように考え判断したのかをきちんと考える必要があります。
深く考えないで、「まあ何とかなるだろう」とのんきに構えていたのではとんでもない結果になりかねません。
そうしたときに「いつもと違う、何か変だ」と考えて助けになるこころの動きが好奇心だと、私は考えています。
何か変だと気づいて心のブレーキをかけ、「自動運転モード」から「手動運転モード」に切りかえて、何か変わったことが起きていないかどうか確認する。
そこでも好奇心が大きな役割を果たします。
いつもと違うことが起きていないかどうか、現実に目を向ける好奇心です。
何かをするときには「自動運転モード」の方がずっと楽ですから、手間暇かかる「手動運転モード」に切りかえるためには、かなりの思い切りが必要です。
それに、良くないことが起きているかもしれない現実に目を向けるのは怖いものです。
ですから、つい「見て見ぬふり」をしたくなります。
でも、現実に目を向けないと適切な形で問題に対処できません。
逆に、現実に目を向けることができて情報が集められれば集められるほど、現実に即した的確な判断ができます。
そうした難しい状況であえて立ち止まり、「何が起きているんだろう」と現実に目を向けるときにも、好奇心が大切な働きをします。
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■大野先生講演情報
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【1】秋田ふきのとう県民運動大会
「認知行動療法を使ってこころを元気にする」ほか
日時 : 2018年11月28日(水) 13時半~16時20分
会場 : 秋田県生涯学習センター 3階講堂
詳細はこちら→ http://www.fuki-no-tou.net/
【2】「こころを軽くする3つのステップ」
日時 : 2018年12月2日(日) 14時~16時(開場:13時半)
会場 : 千葉県白井市保健福祉センター 2F検診室
問い合わせ先:千葉いのちの電話事務局(043-222-4416)
メール:ll-chiba@chiba-inochi.jp
【3】「こころを軽くする3つのステップ」
日時 : 2018年12月8日(土) 10時~12時(開場:9時半)
会場 : 千葉県山武市役所 3階 大会議室
詳細はこちら→ https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/kokoro/koukaikouenkai301208.html