以前に、柏木哲夫先生の講演で、支えることと寄り添うことの違いについて聞いたことがあります。
そのなかで、柏木先生は支えることより寄り添うことを勧めていました。
柏木先生は、日本のターミナルケアの先駆けとして知られています。
ターミナルケアというのは、病気のために終末期を迎えている人のこころのケアをすることを目的とした医療的アプローチです。
以前は、そして今でも、終末期を迎えている人に様々な延命処置が施されます。
スパゲッティ症候群と表現されるように、いろいろなチューブを身体につないで、何とか命を長らえさせようと治療が施されます。
無理のない延命処置は大事ですが、延命処置が主役になって、死んでいく当の本人が脇役に回ってしまうことも珍しくありません。
それに対して、医学的処置は必要最小限にして、限られた時間を自分らしく生きていけるように手助けしようとするのが、ターミナルケアです。
それは終末期の人にとってはもちろんですが、その人をまわりで手助けする人たちにとっても大変なエネルギーが必要です。
そのときの心構えとして、柏木先生は支えようとするのではなく、寄り添おうとするとよいとおっしゃっていたのです。
これは比喩的な表現でもあるのですが、何であっても下から支えるには力が必要です。
相手の人の重みを受け止めながら力を入れて下から支えなくてはなりません。
一方、寄り添う場合は、横に一緒にいるだけですから、力は必要ありません。
そばにいて、気持ちに寄り添いながら、その人らしさが生きるように手助けすれば良いだけです。
支える関係のときには、力のある人が力のない人を支えるという、力の差の存在を認めた上での関係になっています。
一方、寄り添う関係は、お互いの力の存在を認めて、相手の力が最大限発揮できるように応援するという関係です。
同じ立場でお互いの力を出し合って、同じ方向を向いて力を合わせて進んでいくというイメージです。
このように一緒になって進んでいく人間関係があれば、社会のなかでもスポーツの場面でも、お互いに力を出しあって協力しあうことができます。
それを寄り添う関係として表現した柏木先生の話を聞いて、さすが現場を大切にする人の発想だと思いました。
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■大野先生講演情報
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【1】秋田ふきのとう県民運動大会
「認知行動療法を使ってこころを元気にする」ほか
日時 : 2018年11月28日(水) 13時半~16時20分
会場 : 秋田県生涯学習センター 3階講堂
詳細はこちら→ http://www.fuki-no-tou.net/
【2】「こころを軽くする3つのステップ」
日時 : 2018年12月2日(日) 14時~16時(開場:13時半)
会場 : 千葉県白井市保健福祉センター2F検診室
問い合わせ先:千葉いのちの電話事務局(043-222-4416)
メール:ll-chiba@chiba-inochi.jp
【3】「こころを軽くする3つのステップ」
日時 : 2018年12月8日(土) 10時~12時(開場:9時半)
会場 : 千葉県山武市役所 3階 大会議室
詳細はこちら→ https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/kokoro/koukaikouenkai301208.html