前回は日本のターミナルケアの先駆けの柏木先生の講演を紹介して、寄り添うことの大切さついて書きました。
ターミナルケアを専門にしている人は、死を間近に控えた人が自分らしく生きていくのを手助けします。
そうした人を目の前にしてただ寄り添うだけに徹するには勇気がいります。
極限状態にある人をみると、できるだけの手助けをしたいと考えます。
自分なりにいろいろと手を尽くしたくなります。
しかし、まわりからできることには限りがあります。
もっとこうすれば良いのにと考えても、代わりに現場で動くことはできません。
そうしたときには、むしろ手を出さないでじっと見守ることが大事になります。
それは、ターミナルケアの場面だけでなく、日常生活のいろいろな場面でも同じです。
子育ての場面、教育、スポーツ、介護、実にさまざまな場面で見守ることが大きな意味を持っています。
見守るというのは、ただ見ているというのとは違います。
自分のこころを相手のこころに寄り添わせることです。
一緒に喜び、一緒に悲しみ、一緒に怒ることです。
このようにお互いにこころが寄り添うような体験は、私たちのこころや身体を元気にするためにとても大事な役割を果たします。
家族や友人など近い立場の人との関係が良い人や、地域との交流がある人はうつ病など精神的な問題を抱えるリスクが低くなると報告されています。
自分は一人ではないと感じられることで、心を強く持つことができるのです。
その一方で、孤独を感じるような環境に置かれるとこころや身体が弱くなるという研究も、数え切れないほどたくさんあります。
高齢者の研究を見ると、孤独になると、うつ病や不眠、高血圧になる人が多くなることがわかっています。
アルツハイマー型認知症になったり、早く亡くなったりする可能性も高くなるようです。
孤独感は経済的にも影響するようで、高齢になって単身生活を続けると貧しくなる可能性が高くなるという海外の研究もあります。
自分にとって大切な人を見守るというのはとてもエネルギーのいることですが、そうするだけの価値があることを知って欲しいと思います。
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■大野先生講演情報
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【1】秋田ふきのとう県民運動大会
「認知行動療法を使ってこころを元気にする」ほか
日時 : 2018年11月28日(水) 13時半~16時20分
会場 : 秋田県生涯学習センター 3階講堂
詳細はこちら→ http://www.fuki-no-tou.net/
【2】「こころを軽くする3つのステップ」
日時 : 2018年12月2日(日) 14時~16時(開場:13時半)
会場 : 千葉県白井市保健福祉センター2F検診室
問い合わせ先:千葉いのちの電話事務局(043-222-4416)
メール:ll-chiba@chiba-inochi.jp
【3】「こころを軽くする3つのステップ」
日時 : 2018年12月8日(土) 10時~12時(開場:9時半)
会場 : 千葉県山武市役所3階 大会議室
詳細はこちら→ https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/kokoro/koukaikouenkai301208.html