こころトーク

2018.12.21

第169回 「「負けるが勝ち」は怒りのマネジメント」

先週の「負けるが勝ち」の話を続けてみます。

これは、前回も書いたように、負けたように見えたとしてもあえて争わず、相手に勝ちを譲った方が、最終的に自分にとって良い結果になるという意味です。

私は、この考え方は怒りのマネジメントの本質だと考えています。

今の時代、怒りの表現の仕方が問題になることがよくあります。

その代表がパワーハラスメントです。

職場で部下が思うように行動しないためについ声を荒げてしまう。

その結果、部下はふてくされ、その態度にますます怒りが高まってきます。

場合によっては、部下が感情的になって反論してくることさえあります。

それに腹を立ててつい言い過ぎてしまい、コンプライアンス部門にパワハラだといって通報されてしまうことになりかねません。

せっかく良い仕事をさせようと考えて厳しい言い方をしたとしても、これでは逆効果です。

こうしたときにこそ「負けるが勝ち」を思い出せると良いでしょう。

認知行動療法では、怒りは「自分のテリトリーに侵入された」ことに対する反応だと考えます。

自分のこころのテリトリーに勝手に侵入されて「ひどい」と考えるために、腹が立つのです。

そこで感情的に反応したのでは、お互いの怒りが怒りを呼んで感情がエスカレートして、先に書いたような問題に発展してしまいます。

そのときには、まずひと息入れるようにします。

そして、「負けるが勝ち」とこころの中でつぶやいてみます。

そうすると、ちょっと気持ちが落ち着いてきます。

そのうえで、自分が相手にどのように行動して欲しいかを考えるようにします。

「ひどい」と考えたのは、相手が期待するような行動をしなかったからです。

それなら、どのように行動して欲しかったのか、自分が相手に期待していた行動を心の中で確認します。

そして、その行動を引き出すには、自分がどのようなことを言い、どのように行動すれば良いか、作戦を考えます。

自分が自分のための闘いの策士になるのです。

そして冷静に自分の作戦を実行する。

そのようにすることで、自分が期待する現実に近づくことができて、気持ちよく生活できるようになってきます。