前回、こころのクセについて書きました。
こころのクセは人それぞれで、性格と呼ばれたりもします。
性格は、前回書いたように、良い面も良くない面も、あわせ持っています。
そのことを私が学んだのは、うつ病を経験したある人の講演を聞いたときです。
その人は、うつ病にかかって初めて医療機関を受診したときのことを話していました。
つらい気持ちを何とかしたいと考えて、思い切って医療機関を受診したその人は、そこでひどく落ち込む体験をしたといいます。
それは、待合室に置いてあったうつ病のリーフレットに目を通したためです。
そのなかには、うつ病の症状などと並んで、うつ病になりやすい性格がリストアップされていました。
その人は、そのリストに目を通してひどくショックを受けました。
自分の性格がそのまま書かれていたからです。
「細かい」「人のことを気にする」
まさに自分の性格そのものです。
「やはり、自分の性格が悪いからうつ病になったんだ」
そう考えてひどく落ち込んだといいます。
ただ、その人は、しばらく経って気づきました。
仕事をしているとき同僚が、「あなたの仕事は丁寧だから助かる」と言ってくれました。
その言葉を聞いて、その人は、「細かい」という性格は「丁寧」と言い換えられることに気づきました。
「人のことを気にする」というのは「人の気持ちに配慮できる」ということです。
細かくなりすぎて自分を縛るとつらくなります。
人のことばかり考えて自分のことをないがしろにするとつらくなります。
しかし、それは、丁寧に仕事をしたり、人のことを思いやったりすることができるという長所でもあります。
そのように考えると気持ちが楽になりますし、自分の力を活かすことができるようにもなります。
自分の性格を振り返って、それを否定するのではなく、生かすことができれば、ずいぶん気持ちが楽になってきます。