こころトーク

2019.03.29

第183回 「不安を感じるのは自然なこころの反応」

いよいよ今年度も最後が近づいてきました。

平日に働いている人たちにとっては、今日が平成30年度に働く最後の日になります。

来週の月曜日からの新年度には、新しい環境で仕事や勉強をすることになる人も多いと思います。

そのために新しい場所で住むことになる人も少なくないでしょう。

このように新しい環境に置かれると、私たちはつい不安になります。

このようなときに、もっと自信を持って新しい環境に入っていきたいと考えるかもしれません。

不安を感じる自分のことを、情けなく感じるかもしれません。

しかし、不安になるのは自然なこころの反応です。

ですから、不安を感じることに不安になりすぎないようにしてください。

新しいことが起きているときに、何も心配せずにいたら、思いがけない失敗をする可能性があります。

きちんとできるかどうか心配な気持ちになるからこそ、私たちは、事前に丁寧に準備をすることができます。

何年か前の本欄でも書きましたが、不安を感じる脳の中枢は扁桃体です。

扁桃体が感じすぎるとしょっちゅう不安を感じるようになります。

一方、扁桃体が働かなくなると不安を感じなくなります。

そうなったとき、私たちはどのような行動を取るのでしょうか。

脳炎で扁桃体が働かなくなった人を観察した研究があります。

そうした人たちは、ある意味、とても良い人になっていました。

知らない人と会ってもすぐに親しく打ち解けで話をするようになります。

それだけだと良いのですが、相手のことを信じきって、いろいろと自分の打ち明け話をするようになります。

これはとても危険です。

いろいろな詐欺に遭う可能性が高くなります。

そう、自然な不安を感じることは、自分を守るために必要なこころの動きです。

不安になったときは、そのように感じられるこころの力を自分が持っていると考えて、そのこころの力を信じるようにしましょう。

そして、まず最初は、自分のやり方で進めて良いかかどうか、慎重に状況を見極めながら先に進んでいくようにしてください。
 

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