こころトーク

2019.04.05

第184回 「『やってみなはれ』と認知行動療法」

先日、関西の企業で認知行動療法について話をする機会をいただきました。

認知行動療法は“常識の精神療法”と言われていることからもわかるように、私たちの常識の力を使って、様々なストレス状況を切り抜けることを手助けする精神療法(心理療法)です。

ですから、そこで使われている方法は、日常生活でストレスを感じたときにも使うことができます。

そうしたことから、認知行動療法の考え方を社員の方のこころの健康のために使おうと考える企業が出てきています。

さて、その研修会の後にその企業の方と懇談をしながら研修の内容を振り返っているなかで、一人の方が「関西で言えば、“やってみなはれ”の精神ですね」とおっしゃいました。

その言葉を聞いて、私は「なるほど」と思いながら、うれしくなりました。

うれしくなったのは、私の話の内容をきちんと受け止めてもらえたと考えたからです。

それに、そのように理解してもらえるような話し方ができたとわかったこともうれしく思った理由のひとつです。

“やってみなはれ”というのは、NHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」でも話題になりましたが、サントリーの創業者鳥井信治郎が口にしていた言葉です。

事前にいろいろと思い悩む前に、まずやってみて、その結果を見て考えようという意味です。

これこそまさに認知行動療法の考え方です。

先週も書きましたが、私たちは何か慣れないことをしようとするとき、それがうまくいくかどうか心配であれこれ考えます。

新しいことに挑戦する場合には、とくに良くない可能性を考える傾向が強くなります。

失敗しないためにそうした可能性を考えるのは意味がありますが、その結果、「石橋を何度も叩いて、それでも橋を渡らない」ことになっては本末転倒です。

結局、何もできないまま時間が過ぎていってしまうことになります。

自分が考えている挑戦に意味があると考えるのであれば、まず思い切ってチャレンジしてみるのが一番です。

それがうまくいけばそれに越したことはありませんし、うまくいかなくても、どこをどう変えていけば良いか、今後工夫するためのヒントが見つかります。

無理をすることはありませんが、必要なことは、心配に負けずにチャレンジして欲しいと思います。