こころトーク

2019.04.12

第185回 「行動に移す前の大切な準備とは?」

先週は、関西で認知行動療法の話をしたときに参加していた方から言われた「やってみなはれ」という発想の大切さについて書きました。

先が見えないときに、私たちはどうしても事前にあれこれ考えて悩んでしまいます。

それは、危険を避けようという私たちの本能的な発想です。

ですから、どうしても危険性を現実より大きく考える傾向があります。

しかも、自分の対応力を過小評価しがちです。

そのために、その状況から逃げたいという心理が働きます。

しかし、そこで逃げてしまうと危険かどうか確認できません。

だから、思い切って現実に足を踏み入れる必要があります。

それが「やってみなはれ」の精神でもあります。

それを認知行動療法では行動実験と呼んだりするのですが、だからといって、やみくもに行動すれば良いというものではありません。

どのようなものであっても、実験をするには準備が必要です。

なかでも重要なものが仮説です。

仮説というのは、何を実証しようと考えているか、その対象のことです。

例えば、職場や学校での人間関係がうまくいっていないとき、どのようにすれば良くなるか、改善の手立てを考えます。

“この手立てを使えば人間関係が改善する”と想定して、その仮説を確かめるのが行動実験です。

そのときには、まず問題をできるだけ具体的に絞り込む必要があります。

“人間関係”だけでは不十分で、誰とのどのような人間関係かがはっきりしていないと具体的な対応策を考えられません。

そのときにもうひとつ考えておかなくてはならないことは、その問題を解決できる可能性があるかどうかです。

一歩足を踏み出す前に、解決可能性がどの程度あるのかを判断をするこころのゆとりを持つ必要があります。

可能性がないことがはっきりしているときには、あきらめるしかないかもしれません。

場合によっては、「このプロジェクトだけでもAさんと普通に接することができるようになる」など、少しでも可能性が高まるような工夫をしないといけないかもしれません。

背伸びしないで、できることから少しずつ進めていくことが大事です。