こころトーク

2019.04.19

第186回 「『行動実験』と可能性の確認」

今回は、前回に続いて行動実験について書くことにします。

前回も書いたように、行動実験というのは、心配だと考えていることが正しいかどうかを行動を通して確認することです。

認知行動療法は、考えを現実的なものに変えて問題に取り組むこころの力を引き出していきます。

これを専門的に「認知の修正」と呼ぶのですが、それは単に頭のなかであれこれ可能性を考えながら考えを切り替えることではありません。

いくら考えを切り替えようとしても、頭のなかだけで考えていたのでは、腑に落ちる新しい考えが浮かぶということはあまりありません。

それに、その新しい考え方が、問題解決につながる現実的なものかどうか知るには、現実に足を踏み入れる必要があります。

新しい考え方をすることで問題に対処できるようになるかどうか、確認する必要があるからです。

その確認作業を行動実験と呼びます。

確認作業を進めるために、確認する対象となる問題を具体的に絞り込んで、実現可能性のある目標を設定しなくてはならないことは、前回のこころトークで書いたとおりです。

そのとき同時に、その目標に向けて行動することで、どのような良いことがあり、逆に良くないことにはどのようなものがあるかを考えます。

これを、専門的には「メリット・デメリット分析」と言います。

日本語に訳すと損得勘定ということになるでしょうか。

損得勘定というと良くないメージを持つ人がいるかもしれません。

でも、私たちが何か行動をするとき、すべてがうまくいくということはほとんどありません。

行動する前に不安を感じるのも、良くない結果になる可能性があるからです。

ですから、ある行動をしてどの程度良い結果が得られて、どの程度良くない結果になる可能性があるのかを冷静に判断して、行動計画を立てることがとても大切になります。

「肉を切らせて骨を切る」という言葉があるように、ある程度良くない可能性があっても思いきって行動した方が良い場合もあるでしょう。

その一方で、ある程度良い結果が期待できても、リスクが高すぎる場合には行動しない方が良いでしょう。

行動実験では、こうしたいくつかの可能性を冷静に考えたうえで、行動をすると決めれば思い切って行動して、その結果を分析するようにします。

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