こころトーク

2019.05.24

第191回 「有森裕子さんのプラス面を見る力」

先週紹介した有森裕子さんの話を続けます。

ポジティブサイコロジー医学会で講演していただいた有森さんは、とても明るく元気な方でした。

だからこそ、知的障害を持った人たちのスポーツの祭典、スペシャルオリンピックスのトップとして活動を続けているのでしょう。

だからこそというのは、マイナス面よりもプラスの面に目を向ける力があるからという意味で書きました。

知的障害の人たちは、知的能力という面では他の人ほどの力はないかもしれません。

しかし、体を動かすことができます。

そして、何よりも、体を動かして楽しみを感じることができます。

その力は、知的障害を持たない人たちにけっして引けを取りませんし、それ以上かもしれません。

そのように、マイナス面から目をそらさず、しかしプラスの面にきちんと目を向けることができるのが有森さんの力なんだろうと思います。

今回は、もうひとつ、講演のなかで印象に残った話を紹介します。

それは、マラソンでは二度と同じ条件で走ることはないという話です。

言われてみればその通りなのですが、太陽の照り具合や雨の程度、気温や湿度、地面の状態など、毎回違います。

自分の体調や気分だって、そのときどきで違います。

そのように一回限りだと考えるからこそ、そのときに自分の力を集中できるのでしょう。

でも、そのときに、一回限りだから失敗しないようにと考えてしまうと、どうでしょう。

緊張して思うように力を発揮できません。

「失敗しないように」と考えると、どうしても私たちは、失敗した場面を想像して緊張してしまうからです。

ところが有森さんは、そのような状況に置かれたとき、いままでとは違うから、それだけ大きな可能性があるのだと考えているそうです。

いままでの体験に縛られずに、いまの自分の力を出すことができると考えるのでしょう。

そのように可能性があると考えることができれば、思いっきり自分の力を発揮することができるようになります。

私たちの人生はいつも新しい体験が続きます。

そのときに、いままでとは違う可能性があると考えると、こころがワクワクしてきます。

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