こころトーク

2019.06.21

第195回 「留学先での無力感を乗り越えたきっかけ」

先週、松岡修造さんが、身長が低いために試合に負けたような話し方をしていた錦織圭選手を厳しく叱ったという話を紹介しました。

錦織選手が子どものころの話です。

自分の力でどうすることもできないことに目を向けていたからです。

それでは、どうすることもできないという思いばかり強くなって、これから何かしようという気力はわいてきません。

そうしたときには、「これからどうなれば良いと考えているのか」「そのために何ができるか」を考えなければ、その無力感から抜け出すことはできません。

このことを書いているときに、私は、1985年にアメリカのニューヨークに留学したときのことを思い出しました。

勇んでアメリカまで行ったものの、英語の壁に直面して、配属された病棟の中で孤立するような状態が続いていました。

日本の英会話学校やテレビで勉強したわかりやすい英語ではなく、東海岸特有の早口の英語は、ほとんど聞き取れません。

そのために自信をなくしていることもあって、自分から話そうとしても、しどろもどろになってうまく話すことができません。

「なんでアメリカなんかに来たんだろう」と自分を責めて、孤立する日々が続きました。

そうしたときに、病棟のスタッフがバスケットボールに誘ってくれました。

毎週2回、仕事が終わった後に男性スタッフが集まって病院の体育館でバスケットボールをしているというのです。

でも、みんな大柄で身長が高い人間ばかりです。

「うまくいくはずない」とちょっと尻込みをしましたが、ふと別の考えが頭をよぎりました。

バスケットボールをするだけなら、英語力はあまり関係ありません。

まわりが背が高いということは、その下をくぐればそれなりにプレイできそうです。

私は、運動神経には自信があります。

そのように考えると、「みんなの輪に入りたい」という私の思いは実現できそうです。

最初はレクリエーションから始めれば、仕事でもみんなの中に入りやすくなりそうです。

そのようにしてスタッフと一緒に、仕事の後に時間を過ごすようになり、仕事でも少しずつみんなの輪の中に入れるようになっていきました。

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