こころトーク

2019.07.19

第199回 「一歩を踏み出すことから生まれる『修正感情体験』」

これまで2回、アレン・フランセス先生の講演に出てきた「マジック・モーメント(魔法の瞬間)」に生まれる「修正感情体験」について書きました。

「どうせ自分など、誰にも受け入れられないんだ」と考えて自分の世界に閉じこもっていた人が、思いがけず、他の人に理解されたり受け入れられたりすることで、自分が一人というそれまでの思いが軽くなるという体験です。

こうした体験は、精神療法(心理療法)のなかに限らず、毎日の生活でもとても大切で、こうした体験を通して私たちの人間関係は広がっていきます。

もちろんそれは、ただ待っているだけで自然に手に入るものではありません。

実際に行動して、現実に足を踏み入れる必要があります。

しかし、そのことが頭でわかっているつもりでいても、実際に行動するとなると、なかなか足を踏み出すことができません。

他の人から拒絶される可能性がゼロではないからです。

それに、仮に拒絶されないにしても、思うように話ができない可能性もあります。

私もその一人ですが、人見知りの人は、あまり親しくない人と会う機会があると、きちんと話ができるかどうか心配になります。

話しているときに、少しでも間があくと、何か話さないといけないのではないかと思って、いたたまれない気持ちになると考えるからです。

それがイヤで、自分の世界から足を踏み出すことができない人は少なくありません。

でも、そのまま自分の世界の中に止まっていても、つらい気持ちが続くだけです。

それなら、思い切って一歩足を踏み出しても良いのではないでしょうか。

そこでうまくいけばしめたものですし、うまくいかなければ、足を引っ込めれば良いだけの話です。

私の経験では、思い切って足を踏み出すと、うまくいくことがほとんどです。

自分が話すのが苦手だと、相手の人が意外とよく話してくれます。

あまり自分から話そうとしないぶん、相手の人が話しやすくなるようです。

そもそも人と話すのが苦手なのですから、その場を自分が盛り上げないといけないと考えるのは無理があります。

でも、他の人が場を盛り上げられるように上手な聞き役になることはできます。

その結果、他の人が気持ちよく話ができ、お互いの関係が良くなり、気持ちが軽くなるだけでなく、その後の人間関係にも自信がわいてきます。
 

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