こころトーク

2019.08.02

第201回 「環境改善がもたらすプラスの効果」

前回、愛媛県愛南町で、精神科病院に入院していた患者さんが町の人たちと一緒に町おこしをして産業を活性化することで、病院外での生活の場を創り出し、最終的に病院を閉じることができたという話を紹介しました。

この話を紹介したのは、こうした患者さんの体験は、けっして精神疾患を持った患者さんだけに限ったことではなく、誰にとっても役に立つこころのヒントが含まれていると考えるからです。

精神疾患を持った患者さん、とくに入院している患者さんはとても敏感です。

ちょっとしたストレスに敏感に反応して、心身のバランスを崩してしまいます。

だから入院をして日常のストレスから距離を置くことが役に立つのですが、これは諸刃の剣でもあります。

入院すると、日常のストレスから距離が置けるようになる反面、日常生活のなかで続いていた人間関係が失われることになるからです。

もちろん、人間関係がストレスになることはいくらでもありますが、その一方で、人間関係に救われることも珍しくありません。

そうした良い人間関係が失われると、私たちの心は弱くなります。

ですから、病院では、入院環境のなかでそのようにお互いに支え合う良い人間関係が作れるように工夫をします。

また、患者さんの生活環境の改善を通して、退院後も良い人間関係のなかで生活できるように手助けしていきます。

その一環として、愛南町のような、地域と一体になった生活環境改善があったのです。

そうしたことができれば、精神疾患のために入院しなくてはならなくなった患者さんでも安定して地域で生活できるようになることが愛南町の活動からわかります。

逆に、そうしたことができずに孤立すれば、精神的に不安定になってくることもわかっています。

こうした環境の改善は、精神疾患のために入院しなくてはならなくなった患者さんにとってだけではなく、誰にとっても大切です。

いまは大きな精神的問題を抱えていなくても、大きなストレスを体験して精神的な不調になる可能性は誰にでもあります。

そうしたときでも、孤立しないでお互いに助け合える環境があれば自分らしく生きていくことができるようになるということを、私は愛南町の活動から学び、ぜひ紹介したいと考えました。

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