先日、東京お台場にある日本科学未来館に行く機会があったのですが、そこでの「未来逆算思考」の展示は、認知行動療法的にも興味深いものでした。
これは、50年後に住む私たちの子孫にどのような地球を残すことができるかをテーマに構成されている展示です。
入り口のモニターには50年後に、荒廃した街に座り込んでいる子どもの映像が映し出され、このようにならないために何ができるかを考えて欲しいと訴えています。
そして、自分が残したい地球を、「地球温暖化がストップした地球」など8つの目標からひとつ選び、資源ポイントと文化ポイントの2つポイントを持って、残したい地球を実現するためのゲームに参加します。
「欲望」は資源ポイントを減らし、「無知」は文化ポイントを減らすという設定になっているのも面白いと思いました。
そして、自分が希望する地球が50年後に残るようにルートを決めてゲームを行うのですが、このように将来を考えていまできることを積み重ねていく発想は、認知行動療法でも大事にしている考え方です。
私たちは、日々、様々な問題に直面しながら生きています。
仕事のトラブルや家庭や友人との人間関係のいさかいなどを次々と体験します。
そうした問題にきちんと目を向けて解決していくことは大切ですが、目の前の問題にばかり目を向けていると、これからどうなっていきたいのか、将来に向けてのビジョンに目が向かなくなります。
将来に向けてのビジョンというと大げさですが、それは5年後、10年後を考えたときに何が大事かという視点です。
20年来一緒に活動をしている青森県南部町で配られたチラシで使われたマンガを、私は講演のなかでよく紹介します。
それは、仲の良い二人が店を出したいと議論している場面です。
一人はカフェを、もう一人はそば屋を開きたいと言いあっています。
しかし、二人にとって本当に大事なのは、どのような店を出すかではなく、二人で仲良く生活していくことなのだという一コマが入ってマンガは終わります。
「逆転未来思考」は、地球など大きなテーマだけでなく、二人で一緒に仲良く仕事をし、生活をするために何ができるか、将来の希望をきちんと考えながら充実した生活を送るためにも大切な発想です。