こころトーク

2019.08.16

第203回 「直面していませんか?『7コラムの落とし穴』」

今回は、認知再構成法の「7コラムの落とし穴」について書くことにします。

7コラムというのは、「こころのスキルアップ・トレーニング」サイト(https://cbtjp.net)では、「こころが晴れるコラム」で使われているツールで、気持ちが動揺した「状況」をまず書き出し、次いで、そのときの「気持ち(感情)」と「考え(自動思考)」を書きこみ、その考えに対する「根拠」と「反証」を書いた後に「適応的思考」と「気分の変化」を書き込む一般的なものです。

これは、とっさの判断(自動思考)に縛られないで、現実に目を向けて情報(根拠と反証)を集めて、問題解決につながっていくような考え(適応的思考)を案出していくのに役に立つツールです。

しかし、状況によっては根拠や反証を挙げられないときもあり、そのようなときに無理に根拠や反証を探そうとすると、かえってそれがストレスになります。

それが、私の言う「7コラムの落とし穴」です。

たとえば、新しい仕事や課題に取り組もうとして不安になったときの場面を想像してみてください。

そのとき、とっさに「うまくできないんじゃないか」という考えが頭に浮かんで不安な気持ちが急に強くなったとします。

だからといって、「うまくできない」「失敗する」という考えの根拠と反証を考えようとしても、なかなか納得する考えは出てきません。

たしかに、新しい仕事や課題で慣れていないのですから、失敗する可能性はあります。

でも、これまで経験したことがないのですから、逆に、うまくいく可能性だってあります。

慣れていない新しい仕事というのは根拠にも、反証にもなるのです。

ただ、ここでの問題は、根拠になるにしても反証になるにしても、想像でしかないという点にあります。

すでに起きた過去のことであれば現実の情報を集めて検討することができます。

しかし、今後仕事がうまくいくかどうかは将来のことなので、根拠も反証も推測でしかなく、確信を持って判断することはできません。

不安というのは、将来に迫った危険を予測したことで生まれる感情です。

「危ない」と思うから不安になるのです。

しかし、実際にそうした危険なことが起きるかどうかは、将来、そのような状況になるまでわかりません。

ですから、不安という感情に対処するときには、根拠と反証を集めようとするのではなく、そのときになって行動をすることで何が起きるかを見て、新たに情報を収集する必要があるのです。