こころトーク

2019.09.06

第206回 「考えるより、行動が功を奏す『試み』は意外に多い」

先週、第19回日本認知療法・認知行動療法学会の学術総会が終わりました。

こうした学会は参加者の会費で運営されるので、参加者が多くないと赤字になってしまいます。

ですから、実際に学会が終わるまで参加者がわからず、運営に必要な会費が集まるかどうか、主催者は気が気ではありません。

しかも、これまで医師や心理士が務めていた会長を、はじめて看護師の岡田佳詠さんにお願いしました。

これまで参加する人が少なかった作業療法士や理学療法士、教師、薬剤師、精神保健福祉士など、多くの職種の方に参加してもらいたいと考えたからです。

初めての試みでどうなることかと思っていましたが、そのような発想が功を奏して、学問的にも経済的にも大成功に終わりました。

「下手の考え休むに似たり」と言われますが、まさにその通りで、まずやってみないと、結果がどうなるかはわかりません。

学会が終わった後、仲間内で行った慰労会でもそのような話になりました。

話の流れで、私のこれまでの経験を話すことになったのですが、そのなかで認知行動療法とはじめて出会うことになったアメリカ留学の経緯について話すことになりました。

いま考えると向こう見ずだったと思うのですが、そのとき、現実的なことをほとんど何も考えずにアメリカに渡りました。

その頃私は精神分析を勉強していて、米国に渡ってもっと勉強したいと考えていました。

そのときに、米国のコーネル大学に滞在していたある日本人の紹介で留学することになったのです。

1985年の夏のことです。

「いまが一番良いタイミングだ」と突然連絡があって、後先考えずに米国に飛び込んだのですが、それからは苦労の連続でした。

英語が下手だからという理由で支払われるはずの給与が支払われません。

立場も曖昧です。

すぐにでも日本に帰りたいと考えましたが、これで帰ると恥ずかしいという見栄と、家族の支えがあって、滞在を続けました。

そして、1年経つころに、状況が変わりました。

そのきっかけは、以前にもこころトークで書いたアレン・フランセス教授との出会いですが、そこから認知行動療法にも出会いました。

あのとき慎重になりすぎて米国に行っていなければ、いまの自分はいなかったと思って、思い切って行動することの大切さをしみじみと感じています。

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