こころトーク

2019.09.13

第207回 「認知行動療法の創始者自ら、リカバリーの考え方を実践中」

今日、ニューヨークからフィラデルフィアに移動しました。

と言っても、この原稿は日本を発つ前に書いているので、原稿を書いている時点では、ニューヨークからフィラデルフィアに移動しているはずだと書くのが正確です。

この週末、認知行動療法の創始者アーロン・ベック先生のゆかりの人間が集まってカンファレンスを開き、その後、ベック認知行動療法研究所の創立25周年を祝う集まりがもたれることになっています。

じつは、私はいつも海外に行く前には不安になります。

とくに今回は、まずニューヨークに立ち寄ってから、アムトラック(鉄道)でフィラデルフィアに行き、その後また鉄道を使ってニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港から日本に帰ってくることにしているので、うまく移動できるかどうか心配です。

でも、心配でも出かけることにしたのは、認知行動療法の創始者のアーロン・ベック先生から少しでも多くのことを学びたいと考えているからです。

ベック先生は98歳です。

目はまったく見えませんし、車椅子の生活です。

今回のような集まりの前には、「会ったときに絶対ハグをしないように」というメールが届きます。

高齢で骨がもろくなっているので、ハグをすると体が崩れてしまう心配があるからです。

そのような状態でも、ベック先生はみんなと一緒に会議に参加して、積極的に発言します。

統合失調症をもつ人へのリカバリー志向認知行動療法に関する先端的な研究も続けています。

身体の不調があっても頭はしっかりしているから、その頭を使って社会に貢献したいと考えているからです。

ベック先生は、ハンディキャップをかかえながらも自分の持っている力を生かして自分らしく生きていくという、リカバリーの考え方を自ら実践しているのです。

それは全体に気を配りながら自分の力を生かしていく認知行動療法の考え方でもあります。9月21日、22日には、NPOコンボ主催のリカバリー全国フォーラムが東京で開催されます。

何らかの事情で参加がかなわない人たちのために全国フォーラムの動画を配信できるように、クラウドファンディングも行われていて、多くの方が協力しています。

日本でも、リカバリーを目指す多くの人たちの努力が着実に実を結んでいっているのを感じます。

▼リカバリー全国フォーラムを動画で世界に発信したい(クラウドファンディング)
https://readyfor.jp/projects/recoveryforum2019

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