こころトーク

2019.10.18

第212回 「大切なのは悲観的な考えのなかの将来への視点」

台風19号の豪雨では多くの川が氾濫するなど、たくさんの人が被害を受けました。

最近の台風のこれまでにない動きや強さを見ていると、気候の温暖化で日本が熱帯化してきたという意見に説得力を感じます。

いつものことですが、こうした自然の脅威を前にすると、人間の無力さを感じてしまいます。

絶望的になりそうな状況のなか、復旧に力を尽くしている人をニュースで見聞きするたびに、何とか踏ん張ってほしいと声をかけたくなります。

惨状が目の前に広がっていると、このまま何もできず、すべてがダメになってしまうのではないかと悲観的になってくることでしょう。

そのように悲観的に考えるととてもつらくなるのですが、そうした考えが浮かんでくるのは必ずしも悪いことではありません。

そうした絶望的な考えが浮かんでくるのは、将来に目が向いているということでもあるからです。

ただ、そのときに気をつけないといけないのは、「すべてがダメになってしまうのではないか」という考えから、「すべてがダメになってしまった」と決めつけに移ってしまうことです。

「すべてがダメになってしまうのではないか」というのは、将来を想像した考えです。

そのように考えられている間は、「すべてがダメにならないようにするためには何ができるか」と将来に向けて考え、行動することができます。

そうしたなかから、「こうすれば良くなる可能性があるのではないか」と、将来に向けた工夫が生まれてきます。

まだ使えるものがあることがわかったり、他の人からの助けがあることに気づいたりするなど、いろいろな可能性が見えてきます。

一方、「すべてがダメになってしまった」と決めつけてしまうと、すべてが終わってしまいます。

「ダメになってしまった」と言ってしまうことは、いま起きていることを過去の出来事にしてしまうことになります。

現実を過去の出来事にしてしまうと、将来に向けて行動することができなくなります。

過去を変えることはできないから、あきらめるしかなくなります。

つらい体験をしているとき、悲観的な考えをむやみに否定するのではなく、将来性に目を向ける可能性を残せているかどうかを意識するようにしてみてください。