こころトーク

2019.10.25

第213回 「他の人の意見が持つ意味」

台風19号の被害がいまなお続いていて、被災地の人が復旧に頑張っている様子を見ると心が痛みます。

私が医師の教育の手伝いをしている埼玉県の病院も一部浸水して、医師や看護師が懸命に、患者さんを上の階に移したそうです。

そのような話を見聞きするたびに、早めの避難が大切だと思うのですが、自分自身の行動を振り返ると、それがなかなか難しいように思えます。

じつは、私は、台風19号が関東を通過した週末に、自分の研究所で小規模な研修会を開く予定にしていました。

進路予想を見ていると、ちょうど研修会の日に台風が通過する予測になっています。

心配した参加予定の人たちから、研修会を予定通り開催するかどうか問い合わせが入り始めました。

しかし、私はどこか楽観的で、予定通り開催すると伝えていました。

自分は「晴れ男」だという自負があり、台風が東に進路を変えて、関東は通過しないのではないかと考えていたからです。

ところが、水曜日になっても木曜日になっても、台風の進路予想はそれまでと同じ、関東上空を通過することで変わりません。

そして、いろいろな交通機関が計画運休を発表し始めた金曜日になって、研修会を中止することにして参加予定者に連絡しました。

地方から参加する人も少なからずいたので、もっと早く連絡していればと、申し訳ない気持ちになりました。

このように、私たちは自分が関係したことになると、楽観的な予測をしがちになります。

自分の願望が影響するためでしょう。

今回の場合には、せっかくの研修の機会をダメにしたくないという気持ちが働いて、根拠のない自信が生まれたのだと思います。

こうしたこころの動きは、台風などの自然災害のときだけでなく、日常生活の中でも起こりやすいことがわかっています。

そうした失敗をしないようにするためには、自分だけで判断しないで、他の人の意見を聞くことが役に立ちます。

他の人の方が、状況を冷静に判断することができるからです。

私たちは現実場面でつい自分の考えや気持ちに引きずられやすいので、他の人の意見を聞くことが役に立つのです。