前回、睡眠のリズムは朝に取るようにするのが良いと書きました。
それは、決まった時間に寝ようとすると、そのために緊張してかえって寝つきにくくなるからです。
しかし、それだけでなく、毎日決まった時間に眠りに入っていると、次第に起きる時間が遅くなってくるからでもあります。
じつは、私たちの体は朝寝坊するようにできているのです。
1980年代半ば、私が留学したコーネル大学分院に睡眠研究所がありました。
そのなかに生活できる空間が用意されていたのですが、そこには窓がひとつもありませんでした。
時計やテレビなど時間がわかるものも置かれていません。
その中に入った人は自由に生活するように指示されます。
お腹が空いたと言えば食事が出てきます。
眠くなればベッドで眠ることができます。
勉強をしたり、好きな本を読んだりすることもできます。
そこで生活している人は時間がわからないので、身体が要求するままに行動しているのですが、そうすると、少しずつ生活のリズムが変わってくるのです。
そうした行動の観察から、外からの刺激がなければ、私たちは25時間周期で生活することがわかりました。
今では必ずしも25時間周期でなく、個人差があることがわかっていますが、いずれにしても24時間以上の周期で身体は動くように作られているのです。
そのように朝寝坊の身体をリセットするのが太陽の光です。
だからこそ、朝起きて太陽の光を浴びることが大事なのです。
海外に行ったとき、日中にできるだけ外に出て歩くように言われるのはそのためです。
外に出て太陽の光を浴びることで、現地のリズムで身体が動くようになってきます。
人によっては、身体がだるくてベッドからなかなか起き上がれないことがあるかもしれません。
そうしたときには、窓の横に寝床を置いて、朝になったらカーテンを開けて太陽の光を浴びるようにしてください。