こころトーク

2019.12.13

第220回 「『メンタルの強化』はできる? できない?」

先週書いたように、先日、プロ野球の球団の2軍監督やコーチに対して、認知行動療法の考え方を活用するための講話をしました。

監督やコーチが選手を指導するとき、技術的な支援はもちろん大事ですが、同時にメンタル面の支援も大事だからです。

スポーツの世界では一般に、「メンタルが大事だ」と言われますが、メンタルというのはどのようなことなのか具体的な内容がわからないまま「メンタルを強化しよう」と言っている人が少なくありません。

そもそも、メンタルを強化するというのはどのようなことなのでしょうか。

ストレスを感じる状況で、そのストレスに負けずにいつもの自分の力を出せるようにすることでしょうか。

たしかに、プロスポーツを観ていると、ストレスを感じれば感じるほど力を発揮して、いつも以上の力を出している人がいるように思えます。

そうした人の心の整え方を知れば、スポーツの場面に限らず日常生活のなかで、誰でも同じように、ストレス状況でいつも以上の力を発揮できるようになるかもしれません。

でも、ことはそう簡単ではないようです。

ずっと前のことになりますが、大リーグで、緊張する場面で打席に立ったときの打率を調べたことがあります。

その結果を見たところ、いつも以上にヒットを打った人はいなかったのです。

緊張すると身体が硬くなって、いつものようにスムーズな動きができず、リラックスして打席に立ったときのような活躍はできないのです。

そうだとすると、メンタルを強化することはできないのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

そのときのデータを見ると、皆、いつもよりは成績が落ちていたのですが、その落ち方に違いがあるのです。

つまり、人によって、緊張したときに大きく力を落とす人と、それほどには落ちない人がいるようです。

そうだとすれば、緊張場面であまり力を落とさないように工夫できると良さそうに思えます。

その工夫ができるのが「メンタルの強い人」なのでしょう。

そのためにどうすれば良いかですが、私は心配、緊張、落ち込みの3つのステージで考えることを提案しています。

その内容については、次回から具体的に説明していくことにします。