前回も書いたように、私たちは、緊張する場面では、いつもと同じように力を発揮することはできません。
私自身、いくら無心でいようと考えても、緊張するような大事な場面で良い結果を手に入れたいというこころの動きを、止めることはできません。
無心になって思い切り力を発揮することなど、とうてい無理なように思えます。
そのように大事な場面で良い結果を手に入れたいと考えるのは、自然なこころの動きです。
そのために、つい肩に力が入りすぎたりして本来持っている力を発揮できなくなるのです。
それはやむを得ないことなのですが、そうしたこころの動きの影響を最小限に抑えるためには、心配と緊張を分けて対策を考えることが役に立ちます。
「心配」というのは、何かをしようとしているとき、事前にあれこれ良くない可能性を考えてしまうこころの動きです。
一方、「緊張」というのは、実際に行動を起こそうとしている、まさにそのときに起きるこころの動きです。
もちろん、こうしたこころの動きは身体の反応も引き出します。
この「心配ステージ」と「緊張ステージ」への対処法は、区別して検討する必要があります。
心配ステージと緊張ステージで取り組む課題が違います。
心配ステージの最大の問題は、あれこれ良くない可能性を考えていることです。
一方、緊張ステージの最大の問題は、大きな課題を目の前にして頭が真っ白になってしまうことです。
そのために、心配ステージでは、あれこれ考えすぎないですむ方法を使えると良いでしょう。
その結果、実際に行動するときに前向きに取り組めるようなこころの状態が作り出せているともっと良いでしょう。
一方、緊張ステージで頭が真っ白になっているときには、自分がどこかに飛んで行ってしまっています。
ですから、そのときには自分を取り戻して、自分主体で行動できるようにする手立てを考える必要があります。
そうすれば、自分の力を発揮できるようになる可能性が高まります。