こころトーク

2019.12.27

第222回 「思い込みやあきらめから自由になるということ」

今年のこころトークも今回で最後になります。

今年も、多くの人に会って、こころに残る体験をいろいろすることができました。

留学中にお世話になったアレン・フランセス先生や、認知行動療法の恩師のアーロン・ベック先生にまた今年も会えたのは、私にとっては嬉しいことでした。

しかも、フランセス先生とベック先生が会ったときに、私のことが話題になったというのも嬉しく思いました。

それは、フランセス先生が来日したとき、一緒に、愛媛県愛南町の御荘クリニックを訪れたからです。

御荘クリニックは、以前にこころトークでも紹介しましたが、御荘病院という精神科病院を閉鎖してできたクリニックです。

そのとき、御荘病院に入院していた患者さんは皆、町で生活するようになり、今では町のなかで働いています。

そのなかで始めたアボカド栽培は、日本でアボカドは育たないと言われていたにもかかわらず、収穫量が増えて、東京の高級フルーツ店の千疋屋に納められるまでになっています。

精神科病院を閉じて入院患者さんが地域で生活することにしても、アボカドを日本で栽培することにしても、それまでの常識を破る活動です。

こうした活動は、「どうせダメだ」という思い込みやあきらめから自由になることで可能になります。

じつは、フランセス先生は、ロサンゼルスの精神保健担当部署の同じような取り組みの支援をしています。

ベック先生たちも、フィラデルフィアで、10年、20年と、長く精神科病院に入院していた患者さんが、退院して町で生活できるように、認知行動療法を使って支援しています。

そのときに大事なことは、スタッフのあきらめを変えることだそうです。

ベック先生たちがこの活動を始めたとき、多くのスタッフは、長く入院している患者さんを前にして、「その人たちが退院して生活するなどとうてい無理だろう」と考えていたと言います。

患者さんも、そうしたスタッフの気持ちを感じ取って、退院など無理だと思い込むようになります。

しかし、先にそのように決めつけては、何も変わりません。

やってみないとわからないし、やってみるとできることもたくさんあるのです。

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