思うようにいかないことがあると、すべてがダメだったように思えて絶望的な気持ちになってくることがあります。
そうすると、もう少し工夫して頑張ってみようという気力がなくなってきて、状況はますます悪くなってきます。
考えが萎縮して、いつものような工夫ができなくなります。
視野が狭くなり、本来持っている力が出せなくなってしまいます。
自分で自分の力を封印してしまうことになるのです。
そうした状態から抜け出すためには、意識的にポジティブに考えてみることが役に立ちます。
昨年の2月のこころトークで、長嶋茂雄さんの天覧試合でのサヨナラホームランのことを書きました。
1959年6月25日、もう60年以上前のことになりますから、若い人は知らないかもしれません。
当時新人だった阪神・村山実さんの球をレフトのポール際に見事に打ち返して、劇的なサヨナラホームランになって巨人軍が勝利したのです。
昨年、テレビで、そのときの簡単な再現ドラマが流されたのですが、そのなかに、いかにも長嶋さんらしいエピソードが紹介されていました。
試合の前日だったと思いますが、長嶋さんは新聞をたくさん買い込んできて、スポーツ欄に白い紙を貼って、自分で記事を書き込んでいっているのです。
それも大きな字で、自分が活躍している様子を書き込んでいました。
「長嶋、ホームラン」
「さすが長嶋茂雄、大活躍」等々。
自分が活躍している場面を想像して、わくわくしながら、そのように書き込んでいったのでしょう。
そして、翌日、自分が書き込んだ記事を再現するかのように大活躍して、劇的なサヨナラホームランまで打つことができました。
このようなポジティブなイメージトレーニングは、気持ちを前向きにして、緊張感を和らげます。
しかも、「キャリーオーバー効果」といって、前日のそうしたこころの状態は翌日まで続きます。
長嶋さんは、本能的にその効果を知っていたのでしょう。
緊張しそうな課題に取り組むことがあるときに、こうしたイメージトレーニングをして、今年を良い年にしていってください。