こころトーク

2020.01.31

第227回 「プレッシャーが強いのはどっち?」

私の知人で、ケーキ作りの好きな男性がいます。

恋人の誕生日など、記念日にはせっせとケーキを作って出かけていっていると聞きます。

さて、ここで問題です。

この私の知人が恋人のためにケーキを作っているときと、ある高名な外科医が日本ではじめての移植手術に取り組みはじめたその瞬間と、どちらの方が強いプレッシャーを感じているでしょうか。

じつは、この問題には正解がありません。

それぞれの人が、自分がしようとしていることをどのように受け取るかで、感じるストレスは違ってくるからです。

私の友人がケーキを作っているとき、「このケーキを食べて恋人が喜んでくれるだろう」と考えれば、うきうきした気持ちになるでしょう。

ところが、二人の関係がギクシャクしていて、「美味しいケーキを作れないと嫌われてしまう」と考えると、すごく強いプレッシャーを感じることになります。

外科医の場合も同じです。

「これで失敗したら自分の評判が落ちて、外科医仲間から笑いものにされてしまう」と考えると、ひどく緊張してくるでしょう。

その結果、メスをとる手に力が入って、思いがけないミスをしてしまうかもしれません。

しかし、「長い期間をかけて準備してきた移植手術をようやく手がけることができる」と考えていたらどうでしょうか。

「長い間病気で苦しんできた患者さんをこの手術で助けることができる」と考えているとしたらどうでしょう。

はじめての移植手術ということで緊張していたとしても、それがプレッシャーになって手術に悪影響をおよぼすことはないでしょう。

むしろ、ほどよい緊張感のおかげで集中力が高まって、いつも以上の力を発揮できる可能性さえあります。

私たちが何かをしようとしたとき、ここで失敗したら大変なことになると考えると不必要に緊張してしまいます。

失敗したら取り返しがつかないと考えるとプレッシャーを感じすぎてしまいます。

しかし、きちんと手順を踏んで取り組んでいれば、失敗する可能性は少なくなりますし、たとえ失敗しても、その後に取り返すことは可能です。

何かに取り組んで緊張しすぎていると感じたときには、極端に悪い結果を想像していないか、自分の考えをチェックするようにしてみると良いでしょう。