こころトーク

2020.02.21

第230回 「気持ちが揺れたときにあわてない」

前回、認知行動療法の治療面接の最終回には、その後にどのような問題が起きそうかを想定して、問題が起きたときの対処法について考えておくようにするのが一般的だと書きました。

もちろん、将来、想定外のことが起こることもありますが、ある程度予想しておくと、そうしたときにもあまりあわてずに対応することができます。

認知行動療法は、うつ病や不安症など精神疾患で苦しんだ方の治療で使います。

その治療が終わったときに必ず伝える必要があることのひとつが、気持ちが揺れたときにあわてないようにということです。

あわてないというのは、どのようなときにも大事です。

あわてると視野が極端に狭くなって、全体を見て適切に対応することができなくなります。

私たちは、毎日の生活で、気持ちが動揺するような出来事をよく体験します。

思うように物事が進まずに落ち込んだり、新しいことにチャレンジしようとしているときに心配になったりします。

こうしたこころの動きはごく自然な反応ですし、必要なことでもあります。

思うようにいっていないときや慣れないことにチャレンジしているときにまったく気にしないでいたら、思いがけない失敗をしてしまう可能性があります。

これまで何度も書いてきたように、物事がうまくいっていないときには、ちょっとスピードを落として現実を確認する必要があります。

新しいことにチャレンジするときには、丁寧に計画を立てて、問題になりそうなことがあれば事前に対処法を考えておくようにしなくてはなりません。

このように考えると、気持ちが揺れるのは必要なことなのですが、うつ病や不安症などを経験した人は、そうした気持ちの揺れに過敏に反応してしまうことがあります。

うつ病や不安症は、体験したことのない人には想像できないほど、とてもつらく苦しい体験です。

それがこころの傷になって、そうした体験はもうしたくないと考えています。

ですから、そのときに似た気持ちを感じると、また病気のときと同じ苦しい体験をすることになるのではないかと考えて身構えてしまうのです。

そうしたときには、誰でも感じるようなこころの揺れなのか、それとも病気にかかったときのようなこころの揺れなのかを判断する必要があります。

あわてすぎないで、自分のこころの状態や、まわりで起きていることを冷静に判断するように意識することが大事で、これは日常生活でも大切な心構えです。

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