こころトーク

2020.03.13

第233回 「『正しく恐れる』ことの大切さ」

新型コロナウイルスとの関連で、正しく恐れることの大切さについて書くことにします。

正しく恐れるというのは、危険を過大評価せず、過小評価もしないということです。

東日本大震災が起きた3月11日の前後に、災害を体験した人たちの言葉をいろいろと聞いたことで、そうしたことを考えました。

災害の体験は思い出すのもつらいと思いますが、それでも多くの人に向けて自分の体験を語るのは、そこでの教訓を多くの人に伝えたいという強い思いがあるからでしょう。

その人たちの言葉から伝わってくるのは、危険を正しく恐れることの大切さです。

私たちは、平穏な毎日に慣れてくると、身の回りで危険が起きる可能性があるということを忘れがちになります。

しかし、それでは、問題が起きたときに適切に行動することができません。

問題が起きたときに適切に行動できるためには、問題が起きる可能性を冷静に判断し、問題が起きたときの対応策を準備しておく必要があります。

このように、いざというときのために準備しておくという心構えは、災害対策だけではなく、毎日の生活のストレス対処でも大切です。

一方、新型コロナウイルス感染の状況を見ていると、危険性をきちんと評価することの大切さを感じます。

私たちは、正体がわからないものには不安を感じやすい傾向があります。

ウイルスは目に見えませんし、「新型」と言われるとまったく未知で怖いウイルスというイメージを持ってしまいます。

テレビなどで感染者の報告が「相次いでいる」と言われると、ますます不安になります。

しかし、だからといって、あわてないことです。

感染者は増えていますが、そのために亡くなる人は他の国のように増えていません。

その理由が何なのか、私には不思議です。

ウイルスのタイプが違うのでしょうか。

無理に検査を増やさないことで、医療施設での不必要な感染を防げているのでしょうか。

その結果、必要な医療資源を確保できていて、重症になる可能性のある人に適切な手当を提供できているのかもしれません。

それは医療者の智恵でもありますし、不安を感じながらも、協力している国民相互の思いやりのようにも思えます。

私は、不安感に振り回されないで現実に目を向け、こうしたポジティブな要因を解明していくことで、今回のコロナウイルス対策で役に立つ方策が見えてくるのではないかと期待しています。