こころトーク

2020.05.15

第242回 「楽しみややりがいを感じる行動を増やしてみませんか?」

先週、感染対策に十分注意を払いながら適度に外に出ることも、ストレス対策として大事だと書きました。

その意味で、私は、「ステイホーム(家にいましょう)」よりも、「ステイホームタウン(住んでいるところから離れないようにしましょう)」と呼びかけて外に出るときの感染予防策を具体的に伝えるようにした方が、個人のこころの健康のためにも、地域を越えた感染症の広がりを抑えるのにも、効果的だと考えています。

家のなかに閉じこもりきりにならないようにした方が良いと私が考えるのは、ずっと家のなかにいると、体力が落ちてくるだけでなく、精神的なエネルギーが低下してくるからです。

毎日の生活の中に楽しめることややりがいを感じることが少なくなってくると、うつ的になってくることに気づいて注意を促したのが、心理学者のレビンソン先生です。
そこから、うつ病の患者さんに対して、楽しめることややりがいを感じることを増やす「行動活性化」という治療法が発展してきました。

何かをしたいという意欲は、報酬系と呼ばれる脳神経のネットワークが刺激されて生まれてきます。

友だちと話をして心が安らぐと、またその友だちに会って話をしたくなります。

遊園地に行って楽しい時間を過ごすと、またそこに行きたいと考えるようになります。

大変な思いをしながら仕事をして成果を上げることができると、もう少し頑張ってみようという気持ちになります。

これはすべて、脳の報酬系が刺激されて起きるこころの反応です。

逆に、そうした体験ができないでいると、どうせ何をやってもダメだと考えて、何かをしようという意欲がわかなくなってきます。

誰も自分のことなどわかってくれないと考えて自分のこころの中に閉じこもっていると、誰かと話をしたいという気持ちにはなれません。

何をしても楽しい気持ちになれないと思って何もしないでいると、何かしてみたいという気持ちになれません。

どうせうまくいかないだろうと考えて仕事に手をつけられないままでいると、頑張ろうという気持ちにはなれません。

その結果、「やはり誰も声をかけてくれなかった」「楽しいことは何もなかった」「何もできなかった」と考えるようになり、ますます元気がなくなってきます。
こうしたときに、自分のとっさの考えにしばられずに、自分に何ができるかを考えて行動に移していくことが、こころを健康にするためには大事になります。