先週、新型コロナウイルスに感染するのではないかという不安に対処するのに、可能性と確率を考えることが役に立つと書きました。
可能性と確率を区別する考え方は、新型コロナウイルス感染症に限らず、不安を和らげるのに役立ちます。
それは、強い不安を感じてつらくなっているときには、良くないことが起こる可能性の確率を、現実以上に高く考えていることが多いからです。
自分の力やまわりから支援してもらえる確率を低く見積もっているのも、強い不安を感じているときの特徴です。
上司から大きな仕事をまかされて緊張している状況を想像してみてください。
そうしたときには、それがうまくいって皆から認められるようになるという良い想像をするよりも、失敗して皆に迷惑をかけ、自分の評価が下がってしまうことを心配しているものです。
もちろん、まったく心配しないで油断していると大失敗してしまうかもしれません。
その意味では不安になったり緊張したりするのは必要なことですが、あまり心配しすぎて緊張すると、本来持っている力を発揮できず、本来の成果を上げられなくなってしまう可能性が高くなります。
そうした事態になるのを防ぐためには、可能性と確率の区別が大事になってきます。
もちろん、責任のある大きな仕事ですから、失敗する可能性がないとは言えないでしょう。
いや、どんなに簡単なことでも、失敗する可能性はあります。
しかし、繰り返し書いているように、可能性と確率は違います。
簡単な仕事であれば、失敗する確率は低いでしょう。
大きな仕事になれば、失敗する確率はそれなりに高くなります。
しかし、上司が信頼しているからその仕事をまかしたのだとすれば、失敗する確率はそれほど高くないとも考えられます。
上司がその仕事をまかしたのですから、仮にうまくいかなさそうになれば、上司の助けを期待できるのではないでしょうか。
しかも、失敗する確率は最初から決まっているわけでも、変えられないわけでもありません。
必要な準備をすれば、失敗する確率を低くすることができるはずです。
このように、丁寧に確率を考え、必要な対応策がとれるようになると、不安は自然に和らいできます。