こころトーク

2020.08.07

第254回 「人間関係が制限されている現状と真逆の『半沢直樹』の魅力」

先週に続いて、TBSドラマ「半沢直樹」を取り上げます。

先週、結末がわかっていることの安心感が視聴率につながっているのだろうと書きました。

もうひとつ私が考えている理由が、主人公の半沢直樹を中心に繰り広げられる熱い人間関係です。

それぞれの登場人物が、口角泡を飛ばしながらぶつかり合うなかで、ストーリーが展開していきます。

会社のなかであったり、行きつけの飲み屋であったり、場面は様々ですが、そのシーンを観ていて、こんなことをしていると新型コロナウイルスに感染してしまうと、ふと心配になっている自分に気づきました。

私たちが今、感染症予防のために厳しく制限されている人間関係と真逆の関係が、ドラマのなかで展開されています。

これもまたドラマ「半沢直樹」に皆が惹かれる大きな要因だと私は考えています。

私たち人類は、太古の昔から、みんなで力を合わせて生き延びてきました。

そのような習性を持った私たちは、一人で孤立してしまうことが苦手なのです。

ところが、新型コロナウイルス感染症が拡大して、ソーシャルディスタンスが強調され、集団での活動が制限されるようになりました。

その結果、心のどこかで寂しさや心細さを感じるようになっていた人は少なくないでしょう。

緊急事態宣言が解除されて多くの人が街に出るようになったとき、「気の緩み」が指摘されました。

しかし私は、そうした行動の背景には、「緩み」ではなく「寂しさ」や「心細さ」があると考えています。

私が関係している企業でも、在宅勤務をするようにと言われても、そっと出社している人がいました。

寂しかったのでしょう。

緊急事態宣言解除後、そのように寂しさを感じていた人たちが、人恋しさで街に出て行っているように私には感じられるのです。

そうした人たちは、活動自粛を再要請されても、受け止め切れないでしょう。

だからといって、新型コロナウイルス感染症は終息しておらず、注意は必要です。

上手に身体的距離を取りながら、心理的につながり合う関係を維持する工夫を、皆で一緒に考えていくことが、ますます大事になってきていると考えています。

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