こころトーク

2020.08.14

第255回 「その物差しは自分視点になっていますか?」

先日、大学で教鞭を執っている知人から、気持ちが落ち込んでいる大学生が目立つようになっていると聞きました。

自宅で勉強しているうちに、次第にうつ的な気分になってくるのですが、本人はそのことに気づけないまま、次第に元気がなくなっていくようです。

その話を聞いて、今の時代、落ち込みに気づくのはたしかに難しいかもしれないと考えました。

新型コロナウイルス感染症が拡大しているようで不安だという話は、身の回りでよく耳にします。

マスコミやソーシャルメディアでも、出演者や発信者たちが、しきりに心配だという話をしています。

そうした情報に接した人たちは、自分の気持ちに目を向けるときに、意識しないまま「不安かどうか」という物差しで感情状態を判断するようになります。

そのために、「落ち込んでいるかどうか」という視点が抜け落ちてしまって、自分の本当の気持ちに気づけないまま、苦しさだけが続くことになっているようです。

このエピソードを思い出したのは、『うつな気持ちが軽くなる本』(きずな出版)が先月末に発刊されたからです。

この本は、最近の「こころトーク」のなかで、新型コロナウイルス感染症に関係した内容を中心にまとめたものです。

その過程で、あらためてコロナ禍における私たちのこころの変化を考えてみたのですが、私たちのこころは、初期の不安や恐怖から、少しずつうつや怒りに変わっていっているように思えます。

新型コロナウイルスの実態が解明されないまま感染確認者数が増えていっている現状に不安を感じているのは事実です。

その一方で、先週も書いたように、自粛生活や在宅勤務が続いて人恋しくなってきている人が増えてきているように思えます。

不安が人の行動を変え閉じこもることが増え、その結果、人間関係が減ってきて寂しくなっているようです。

閉じこもりがちになると、楽しみややりがいを体験することが減ってきます。

それも気持ちを塞ぎ込ませる原因になります。

もちろん、感染予防対策をすることは大事です。

しかし、それと同時に、人間的な交わりを大切にしながら楽しみややりがいを感じられる行動を減らさないようにすることも、こころの健康のためには大切です。

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