先週、問題解決に取り組むときには、ほぼ確実に成功しそうなことから始めると良いと書きました。
何かに取り組んで、仮に失敗したとしても、その失敗から学ぶことは少なからずあるので、失敗を怖がる必要はありません。
しかし、その一方で、こころの元気がなくなっているときには、ちょっとしたミスでも大きい失敗のように思えてショックを受ける可能性があります。
ですから、最初は成功する可能性が高いことに取り組むようにした方が良いのです。
これは、エクスポージャーと呼ばれる不安時の行動対処法でも言われていることです。
エクスポージャーは、日本語訳では「暴露療法」と呼ばれていますが、不安を感じている場面に足を踏み入れて、心配しているほど危険かどうかを確認しながら、適度に不安を感じることができるように手助けしていく治療方法です。
たとえば、電車に乗るのが不安で電車に乗れないでいる人に、スモールステップで、段階的に電車に乗る練習をしていきます。
まず自分の部屋のような安全な場所で電車に乗る場面を想像し、次に実際に駅まで行き、それができれば駅に入ってプラットホームに立ち、一駅、二駅と電車に乗る距離を伸ばしていきます。
最初から一人で実行するのが難しいときには、まず信頼できる人に同伴してもらい、次に自分一人で取り組むようにします。
こうした暴露療法でも、最初は、必ず成功できる課題から取り組むようにします。
そのときに、もうひとつ意識しておいた方が良いのが「過剰学習の原理」です。
1回成功したからといって、それで終わりにせず、何回か同じ課題に取り組んで自信をつけていくようにするのです。
スポーツでも勉強でも同じですが、何かの課題に取り組んで1回うまくいったからといって、それで終わりにしてしまうと、次に同じ課題に出会ったときにうまくいかない可能性があります。
何度か同じことを繰り返して、体や心に覚え込ませることで、同じ状況でほとんど意識しないまま体や心が動くようになります。
何度も繰り返して自分のものにしていく「過剰学習の原理」も、課題に取り組むときには大事な法則です。