こころトーク

2021.02.26

第283回 「『ピンチはチャンス』を実感するプラスの効果」

先日、NHKの「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」を観ていたら、カネオくんが「ピンチはチャンス」と繰り返す場面がありました。

それを聞きながら、ピンチはチャンスというのはたしかにそうだと思いました。

今の私たちにとって最大のピンチは新型コロナウイルス感染症の拡大でしょう。

欧米ほどではないにしても、新型コロナウイルス感染症のために命を落とす人たちがいて、こころが痛みます。

命を落とさないまでも重症化したり、後遺症に悩まされたりする人も多く、そうした報道に接して不安になる人も少なくありません。

しかし、人生の最大のピンチともいえるコロナ禍のなか、今までだったら考えもしなかったような新しい生き方が可能になってきています。

先日も、テレビで、コロナ禍をきっかけに郊外に移り住んで、家族との時間を大切にしている人の生活が放映されていました。

その人は、毎日出社しなくてはならなかったこれまでは朝夕の移動が大きな課題だったが、在宅勤務が中心の生活になって、家族との一緒の時間が重要になったと言っていました。

その家族との時間を大切にするために、郊外に引っ越すことにしたそうです。

私の患者さんのなかには、通勤しながらでは大変だった病気の家族の世話をするための時間の調整が簡単になるなど、在宅勤務が広がって自分らしい生活ができるようになった人もいます。

もちろん、仕事によっては、そう簡単に在宅勤務に切りかえることはできない人もいます。

医師としての私の仕事もそうですが、現場に行かなくては仕事をすることができません。

しかし、それはそれで、自分の仕事の意味を考え直すきっかけになりました。

このように、今回のコロナ禍をきっかけに、私たちそれぞれが、自分にとって何が大事かを考えるようになりました。

それと同時に、今までだったら自分にはとうてい無理だと考えていたことができるようになって、自分の力を再確認した人も多いと思います。

たとえば、オンラインでの会議や打ち合わせができるなど、1年前の私には想像もできませんでした。

新型コロナウイルス感染症が話題になり始めた昨年の春、ある研修会で、親しくしている若い精神科医が全国の仲間とオンラインで勉強会を開いているという話をしていたのを思い出します。

新しいことには目がない私なので、その仕組みを聞いたのですが、まったく理解できず、とうてい自分には無理だと思いました。

しかし、コロナ禍が本格化して自粛生活が続くようになると、オンラインでの仕事が増え、いつの間にか自然にそれができるようになっていました。

「どうせできっこない」が「やればできる」と思えるようになったのですが、こうした体験は、これから先の人生で役に立ってくると思っています。