こころトーク

2021.05.07

第293回 「こころが軽くなる『少しずつ』の発想」

先週紹介した「ハートランドしぎさん」の『ハートランド ごほうび大全集』は、認知行動療法の行動活性化の考え方を使ったストレス対処法です。

行動活性化は、認知行動療法活用サイト「ここトレ」(https://cbtjp.net)のなかでは「行動を通してこころを軽くする練習」として紹介しているスキルですが、これは、『ハートランド ごほうび大全集』で紹介されているような私たちの日々の工夫をまとめたものだと、私は考えています。

行動活性化は、心身が疲れてきて気力がなくなってきたときに役に立ちます。

しかし、こうしたときにこころが喜ぶようなことをしてみようと提案しても、「それができれば良いのですが、できないから困っているのです」と言う人が少なくありません。

「元気があれば何でもできるんですけどね」と言う人もいます。

たしかにそうなのですが、今は何かをするだけの元気がない状態です。

多くの方はそうしたとき、何もできない自分を責めてつらくなっています。

そのままで良いのであればそれで良いのですが、つらい気持ちを少しでも楽にしたいのであれば、少しずつでも動くことが役に立ちます。

ここでは「少しずつ」の発想が大事です。

「元気があれば何でもできる」と言うとき、その人は多くのことを一気にこなしている自分をイメージしています。

しかし、こころの元気がなくなっている今の状態で、そのように多くのことをこなすことは期待できません。

自分の期待するイメージが、今の自分と乖離(かいり)してしまっているのです。

しかも、その乖離に気づくことができていません。

その結果、期待する現実を手に入れられない状態に直面し、しかも手に入れることができない無力な自分の姿にも直面することになって、ますますこころが塞ぎ込むようになってきます。

そうしたときは、まず、自分ができているちょっとした行動に目を向けるようにすると良いでしょう。

特別なことではなくても、友だちにメールを送ったり、食事のための買い物に出かけたり、いろいろなことをしているはずです。

そのような行動ができている自分を認めてねぎらうことから始めるようにしましょう。

そのとき、「これだけしかできていない」という引き算思考ではなく、「これだけのことができている」という足し算思考をすると、こころのごほうびに気づきやすくなります。