こころトーク

2021.06.18

第299回 「現実に起きていることは何ですか?」

前回は、思いがけず良くないことが起きたときには若干ポジティブに考えた方が対処策を思い浮かべやすくなると書きました。

その方が将来の可能性を感じることができて、工夫をしてみようという気持ちになりやすいからです。

ただ、問題は、そのように良くないことが起きたときには一般に、反射的に良くない可能性が頭に浮かびやすくなることです。

以前にも、ネガティビティバイアス(悲観的な思考傾向)について何度か紹介しましたが、とっさの出来事が起きたとき、私たちは、良くない可能性を考えて身を守ろうとする傾向があるのです。

こうしたストレス状況に直面したときには、まず現実に起きていることをきちんと受け止めて、そのうえで自分に何ができるかを考えるという2つのステップを踏むと良いでしょう。

最初に現実に起きていることをきちんと受け止めるのは、問題に具体的に対処する方策を考えるために不可欠なステップです。

これをアクセプタンスコーピングと呼ぶこともありますが、「アクセプタンス」の動詞形の「アクセプト」というのは受け入れるという意味で、「コーピング」というのは対処するという意味です。

ですから、アクセプタンスコーピングというのは、現実をありのままに受け入れて対処するという意味になります。

もっとも、良くないことが起きている可能性があるときや実際に起きているときに現実を受け入れるのは、それ自体がストレスのようにも感じます。

しかし、現実に目を向けないで逃げていたのでは、いつまで経っても問題に向き合うことができず、つらい気持ちが続くことになります。

そうしたときにはむしろ、つらい現実に足を踏み入れて何が起きているかを確認した方が良いのです。

一時的にはつらくても、何が問題かがわかって対処法を考えることができるので、最終的に良い方向に進んでいけることになります。

それに、ネガティビティバイアスで説明したように、もともと悪い可能性の方を大きく評価していることが多いので、想像以上に悪いことが起きる可能性はそう高くありません。

自分を信じて、勇気を持って現実を受け止めるようにしましょう。