こころトーク

2021.08.20

第308回 「細かいことが気になるときに試したい簡単な言葉」

先週、短期記憶が長期記憶に置き換わることで、意識せずに細かい動きができるようになると書きました。

とくにこれはスポーツの世界で言われていることです。

野球やゴルフでボールを打つとき、スイングの手順をひとつひとつ意識すると、力が入りすぎて自然な動きができなくなります。

だからと言って、青や赤といった特定の色など、自分がいま取りかかろうとしている行動と関係のない言葉を思い浮かべるのも、良くありません。

そうしたときには、「リズムよく」「力を抜いて」など、ときに大切な内容を含んだ簡単な言葉やイメージを思い浮かべると、自然な動きができるようになります。

それまで練習して身につけてきた自分の力を信じて、その力を引き出す簡単な言葉を自分に投げかけ、その力を最大限発揮できるこころの状態を作り出すようにするのです。

もちろん、実際の場面で自分の力を信じて力を抜くのは、そう簡単なことではありません。

不安になればなるほど細かいことが気になって、行動のひとつひとつを確認したくなります。

不安になるのは、自分の力を信じられないからです。

それに、不安になっているときには、良くないことが起きるかも知れないと考えています。

そのために、細かいことが気になるようなこころの状態が、気がつかないうちに作られてしまいます。

そのときに、「リズムよく」「力を抜いて」といった、そのとき大切なこころの状態を表現する簡単な言葉を思い浮かべると、心配な気持ちに引きずられそうなこころを安定させることができます。

このように、そのとき役に立つ言葉を投げかけることで自分を取り戻す方法は、スポーツだけではなく、日常生活でも使えます。

不安な場面に直面したとき、私たちはどうしても、あれこれ細かいことに目が向きがちになります。

失敗しないように考えてのことですが、細かいことに目を奪われると、全体を見て適切な判断を下せなくなります。

そうしたときに、自分を取り戻す簡単な言葉を自分に投げかけることができれば、ずいぶん気持ちが楽になって、適切に問題に対処できるようになってきます。