こころトーク

2021.10.15

第316回 「認知行動療法センター設立・運営で学んだ2つのこと」

10月10日は世界メンタルヘルスデーで、精神疾患が誰でも体験する可能性のある一般的な疾患だということを多くの人に知ってもらうための行事が世界各地で行われました。

私も、あるグローバルな企業で、日本では、全人口の2~3割の方が精神疾患にかかっていることや、精神疾患を持っているかどうかに関わりなく、それぞれの人が自分らしく生きていける環境を作ることが大事だということを、オンラインで社員の方向けに話をさせていただきました。

また、世界メンタルヘルスデーに合わせて、私が初代センター長を務めた国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターの十周年記念の講演会もオンラインで開催され、対談に参加しました。

国立の研究施設に認知行動療法センターが立ち上がってから10年経ったという時の経過には、感慨深いものがあります。

慶應義塾大学など私立の機関で働いていた私にとって、小平にある精神・神経医療研究センターという国立の機関での勤務は、カルチャーショックと言えるほどに環境が違っていました。

そのために、何度となく担当部署や機関のトップに苦情を訴えましたが、今考えると、関係者が可能な範囲で対応していただき、無事に任期を終えることができました。

なかでも、できるだけ多くの人に来ていただける環境で認知行動療法の研修を実施できるようにしたいという私の要望を聞き入れ、「前代未聞だ」と言いながら高田馬場に認知行動療法の研修センターを作ってもらったことには今でも感謝しています。

おかげで多くの方に研修を提供することができて、その後の認知行動療法の発展につながっていったのですが、そのことから私は二つのことを学びました。

ひとつは、いくら自分のこころの中で考えていても、声を上げなければ状況は変わらないということです。

もうひとつは、声を上げてみると、それをきちんと受け止めてくれる人たちがいるということです。

そうすれば、少しずつかもしれませんが変化が生まれてきます。

最初はごくわずかの変化であっても、続けているうちに助けてくれる人が出てきて、次第に大きな波になってきます。

いつも書いていることですが、あきらめないことの大切さを、また今回も実感することができました。

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