こころトーク

2022.01.28

第331回 「自分を大切にする工夫」

新型コロナウイルス感染症の感染者数が急増しています。

感染者数が過去最多になったという報道を毎日のように耳にして、どことなく落ちつかない毎日を送っている人は少なくないと思います。

私も、重症者がそんなには増えておらず、欧米では感染者がピークアウトして、減少に移っていくのではないかと聞くとちょっとホッとしたりもしますが、しかし油断はならないと気を引き締めて毎日を送るようになっています。

寒さも手伝って外に出る機会が減ってきて、何となく気持ちが晴れない日が続いている人も多いでしょう。

まるで収容施設に収監されているように感じたりもしますが、そう考えていたときに、私が主催しているストレスマネジメントネットワークのケース検討会で、刑事施設で働いている人の話を聞く機会がありました。

その人は、違法薬物を使用して逮捕され収監された人の更正に向けて、集団での心理的支援を行っています。

その人の話では、当然のことですが、最初はそうしたプログラムに参加することに気が進まない人たちが多いと言います。

しかし、その人のプログラムの進め方が優れているのでしょう。時間をかけて接していくうちにプログラムに関心を持つようになってくるそうです。

すると、日常の生活のなかで、次第に意識して関心のあることをするようになってきます。

知人に手紙を書くようになる人もいれば、写経をするようになる人もいます。

このようにして、刑期が終わるまでの施設での生活を、意味が感じられるものに変えるようにしているのです。

その話を聞いて、精神科病院ハートランドしぎさんで作られた「ハートランドごほうび大全集」を思い出しました。

昨年の4月にも「こころトーク」で紹介しましたが、精神科病院に働くスタッフがこころを元気にするために日々行っている工夫を集めたものです。

そのトップページに「誰がなんと言っても、私は私を大切に」というメッセージが書かれていて、職員の工夫がイラスト入りで紹介されています。

刑事施設の入所者と精神科病院のスタッフの工夫、背景こそ違っても、その場でできる自分を大切にする工夫は、コロナ禍で思うような生活が送れないでいる私たちにも参考になると考えました。

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■大野先生 講演会情報
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ワークダイバーシティで求められる職場のメンタルケア ~不調者対応から障害者雇用まで~

大野先生は13:35~
「精神科医 大野裕が語る 職場で求められるメンタル課題への対応
 ~ セルフケアからラインケア、専門家によるケアまで ~」のテーマで講演されます。

日時:2022年2月28日(月)13:30 ~ 18:00(受付開始13:00)

 ▼詳細・お申込みはコチラ
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