こころトーク

2022.04.15

第342回 「『こころの緩急』意識していますか?」

新年度を迎えて新しいスタート地点に立って張り切っている人も多いと思います。

そうした気持ちは大事なのですが、あまり張り切りすぎると疲れてしまうので注意してください。

こうしたときこそ「こころの緩急」を意識すると良いでしょう。

「こころの緩急」というのは、集中して頑張るときと、力を抜いてゆっくり過ごすときとを上手に使い分けるという意味です。

私は企業内の診療所でも働いていますが、精神的な不調を体験しやすい人は、この「こころの緩急」が苦手な人が多いようです。

企業での私の仕事は、治療というより、治療が進んで症状が軽くなった人の仕事への復帰の支援が主です。

休務から復帰した人たちと話すとき、私は意識して、仕事のペース配分と職場の人間関係について尋ねるようにしています。

一定期間会社を休むほどの精神的な不調を体験する人は、何事につけても頑張りすぎる傾向があるからです。

自分はきちんと仕事ができるということを、自分で確認したいと考えたり、他の人にもそのことを認めてほしいと考えてのことです。

他の人たちに迷惑をかけないようにしたいと考えて頑張りすぎる人もいます。

もちろん仕事を頑張ること自体は悪いことではないのですが、自分の状態を無視して無理をしすぎると、疲れがたまって、結局は仕事が続けられなくなってしまいます。

こうしたことを避けるためには、自分の状態を冷静に判断して上手に緩急をつけられる自分をこころの中に作ることが、役に立ちます。

自分の状態を振り返ることをセルフモニタリングと言いますが、自分でそれをするだけでなく、まわりの人に助けてもらうことも大切です。

困ったときに相談できる人がいたり、心配な状態になりそうになったときに気がついて声をかけてもらえる人がいたりすると、問題が大きくなる前に早めに対処できるようになります。

そのように気を配ってもらえる人がいるということは、それだけでもこころの支えになります。

このように信頼できる人たちと一緒に上手に緩急をつけて生きていくことは、仕事だけでなく、勉強やスポーツの場面でも大切です。

そのため、毎回のように、休日にどのように過ごしているかを聞いています。

それは、自由度の低い仕事と違って、休みの日は自分の判断で過ごし方を決めることができるからです。

休日の過ごし方がわかれば、その人のこころの状態もわかります。

精神的にも肉体的にも疲れているときには、何をするでもなく時間を過ごしている人が少なくありません。

しかも、そのように何もしないで過ごしたことをクヨクヨと後悔しています。

それでは精神的にますます疲れてしまいます。

だからと言って、何かを積極的にした方が良いというわけではありません。

疲れているなら、積極的に休む必要があります。

どのようなときでも、自分の状態をきちんと把握して、主体的に行動を決めていくことができることが大事なのです。

もちろん、いつも的確に判断できるわけではありません。

動けると思って外に出てかえって疲れてしまうこともあります。

体を休めようと思って家にいても、いろいろと考えすぎて、かえって疲れてしまうこともあります。

精神的に疲れているときには、そのように判断ミスをした自分を責めてしまいやすくなりますが、私は、主体的に判断ができて、その結果新しい気づきが得られていることに目を向けてほしいと話しています。

それが「こころの緩急」を生かすコツで、そうすれば、仕事に限らず勉強でもスポーツでも、新しい気づきを次に生かせるようになります。

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