先週、夫婦の関係について書きながら、アメリカ留学中のことを思い出していました。
アメリカの人たちは、自分の気持ちをよく言葉にします。
友人の夫婦を自宅での食事に招待すると、「美味しいね」と言いながら、軽くキスをかわします。
食事が美味しいということよりも、二人でその時間を楽しんでいることを確認し合っているようです。
私はちょっと恥ずかしい気持ちになって見ているのですが、二人には気にする様子はありません。
このように、アメリカでは、親しい人同士がお互いに認め合う言葉の数が圧倒的に多いような印象を受けたのですが、私はそれをお互いに対する不信感の裏返しではないかと考えていました。
自分の気持ちを言葉にして伝えなければお互いの気持ちが分かり合えないと思っているからなのだろうと考えていたのです。
一方、日本では、そんなにあからさまに気持ちを口にすることがありません。
言葉にしないでもお互いの気持ちを推しはかってわかり合うのが、美徳のように考えられてきました。
しかし、ほんとうにそう簡単に気持ちがわかり合えるのか、私は疑問に思うこともあります。
むしろ、わかり合えなくて問題になることの方が多いかもしれません。
お互いにわかり合えていると勘違いして、関係がギクシャクしてくることは少なくありません。
相手の気持ちを深読みしすぎて、腹が立ったり心配しすぎたりするようになります。
言いたいことが言えなくなったりすることも増えてきます。
相手の気持ちを読み切れないと、「発達障害の傾向がある」と、精神的な問題があるかのような言われ方をすることもあります。
そうしたことを避けようとして無理に相手の気持ちを読もうとしすぎると、精神的に疲れてしまいます。
言葉は、お互いの気持ちを伝え合うために発達してきたものです。
言い過ぎは好ましくありませんが、良い人間関係を築くためには、上手に言葉を使って自分の気持ちを伝えるようにすることが大事です。