こころトーク

2022.10.28

第370回 「『開いた質問』と『閉じた質問』の使い分け」

先週紹介した、アーロン・ベック先生の遺作『リカバリーを目指す認知療法』に、閉じた質問と開いた質問の使い分けの大切さが書いてありました。

それは、書籍の治療の対象になる人だけではなく、誰にとっても役に立つ内容でしたので、紹介することにします。

閉じた質問というのは、「あなたは働いていますか?」「この提案に賛成ですか?」など、相手が「はい」か「いいえ」のどちらかで答えられる質問です。

質問をされた人は、それ以上答える必要がなく、そこで話が終わってしまうので、閉じた質問と呼ばれます。

一方、開いた質問というのは、「あなたはどのような働き方をしていますか?」など、質問に対して説明しなくてはならない質問です。

これだと、質問に対していろいろな説明をしなくてはなりません。

質問をされた人は、主体的に考えて話をすることが求められ、会話に新しい展開が生まれてくる可能性が高くなります。

そのため、一般的には、開いた質問をして相手に答えてもらいながら話を展開していくのが望ましいと言われます。

しかし、『リカバリーを目指す認知療法』には、こころが疲れている人には、閉じた質問を使った方が良い場合があると書かれています。

精神的に疲れているときには、思考力や集中力が落ちているので、開いた質問に的確に答えることができません。

上手に説明できないために、ますます自分に自信をなくすことになります。

そのようなときには、閉じた質問をする方が良いというのです。

そうすれば、相手の考えを知ることができますし、相手も、答えることができたことで、達成感が生まれます。

それを読んで、私が米国留学中にサンドイッチを買うときに苦労していた体験を、思い出しました。

米国では、パンの種類を尋ねられたり、間に挟むハムやチーズの種類を尋ねられたりします。

英語がさほど得意ではなく、食材の知識に乏しい私にとっては、考えて答えるのが苦痛で、日本のように、すべてがパックされたサンドイッチを懐かしく思ったものです。

たとえてみれば、米国式が開いた質問、日本式が閉じた質問になります。

そのことを思い出しながら、相手の負担を考えながら質問をすることの大切さを再確認しました。

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