ここのところ、何度か、コミュニケーションをテーマに講演をすることがありました。
先の週末には、精神的な不調を抱える人たちがお互いに支えあう長野県のNPO法人ポプラの会でそうした話をしました。
ポプラの会のホームページを見ると、「ポプラの枝が天に向かってまっすぐに伸びていき、それぞれ個性豊かな人たちが一枚一枚の葉として大きな幹に成長したい」という思いで「ポプラの会」と名づけたと書いてあります。
精神疾患を持つ人たちは、症状のためにコミュニケーションがうまくいかず、社会的な偏見も影響して、孤立する可能性が高くなります。
孤立すればさらに心理的負担が増えることもあって、コミュニケーションをテーマにした講演を依頼していただいたのだと思います。
ただ、コロナ禍で人と人との交流が減った今、精神疾患を持っているかどうかにかかわらず、コミュニケーションは今まで以上に大切になってきています。
先日も、母校の慶應大学医学部で講義をしましたが、休憩の後、席に着こうとしない学生がたくさんいました。
同級生との話に夢中になっているのです。
その状況に少し戸惑っていた私に、講義に呼んでいただいた教師が、「これまでオンラインの授業ばかりだったので、仲間と話す機会がなかったんです」と、少し申し訳なさそうに言うのを聞いて、学生たちの態度がよく理解できました。
私たち人間は、人が好きなのです。
原始時代から、私たちは親しい人たちと一緒に生活して、お互い守り合いながら長い年月を生きてきました。
情緒的にも、現実的にも、人と人との触れあいが精神的に強い支えになってきたと考えることができます。
ですから、お互いに顔を見て話ができると、緊張が和らぎます。
そのように話ができる人が側にいると、安心します。
一緒に問題に取り組むことができれば、勇気がわいてきて、自信を持てるようにもなってきます。
しかし、それほど大事な働きをする人間関係だからこそ、つい身構えてしまうこともあります。
そのようなときに役立つ心構えについては、次回以降に紹介することにします。