「(反すうを判断する)2分間ルール」について先週紹介しました。
認知行動療法というと、気持ちが揺れたときのネガティブな考えを意識して、現実に即した判断や工夫ができるように手助けしていくものだと考えられるのが一般的です。
もちろんそうなのですが、つらい気持ちになっているときに繰り返し頭に浮かんでくる考えに目を向けることも大切です。
そのように考えると、認知行動療法の基本はセルフモニタリング、つまり自分を振り返ることだということができます。
私たちは、意識しないで多くのことを考えています。
最近の研究では、私たちが脳の中で考えている言葉の量は、1分間に英単語で4000語だと報告されています。
1時間かけて行われるアメリカ合衆国大統領の一般教書演説の言葉の量が6000語と言われていることを考えると、それだけの言葉が1分半で流れていることになります。
普通、私たちは、それだけの量の言葉の流れのなかから役に立つ考えを自動的にピックアップして生活しているのですが、ストレスを強く感じるようになるとそれがうまくできなくなります。
それどころか、その言葉の波に飲み込まれて、落ち込んだり不安になったりします。
それが繰り返されるのが「反すう」です。
「2分間ルール」は、そうした大量の言葉の流れを止めて、そのときの考えが役に立っているかどうかを確認するための工夫です。
もし、そのとき流れている考えが役に立っていないときには、それを止める必要があります。
反すうに対して、認知行動療法では、「1.名前をつける」「2.行動を起こす」という、二段階で反すうを止めるようにします。
「反すう」していることに気づいたら、まず「反すうだ」「反すうが起きている」とそのときの状態に名前をつけて、自分が自分に注意を促します。
そうすれば考えの流れが遅くなります。
そこで、次に、身体を動かすなど、行動することで「反すう」を止めます。
行動は、スナック菓子を食べるのでも、テレビを観るのでも、外に出て散歩をするのでも何でも良いのです。
身体を動かせば、考えの流れを止めることができます。