頭のなかであれこれ考えて思い悩む「反すう」を止めるのには行動するのが良いと、前回書きました。
ただ、行動するときには行動に集中するようにする必要があります。
わかりにくい表現をしてしまいましたが、行動しているようでいてじつは考えていたということがよくあります。
散歩を例に挙げてみましょう。
コロナ禍でも、気分転換のために外に出て散歩をした人は少なくないと思います。
しかし、散歩をしても気分転換にならないという人がいます。
その人に散歩のときの様子を聞くと、歩きながら気になることをあれこれ考えていたと言います。
これでは、「散歩をしていた」のではなく、「考えごとをしていた」ということになります。
だからといって、「歩きながら考えごとをするのはやめてください!」といっても、効果はありません。
むしろ考えごとが増える可能性があります。
私たちの頭は天邪鬼(あまのじゃく)です。
「やめろ」と言われれば言われるほど、「したくなる」のです。
シロクマのことを考えないようにと言われたときの反応を調べる実験が、よく知られています。
容易に想像できると思いますが、そのように言われるとシロクマのことを考えてしまうのです。
このようなときには、何かをやめるようにと言うのではなく、何か他のことをするように言うのが効果的です。
シロクマのことを考えるのも「反すう」ですから、行動を使ってそれを止めるのです。
散歩の場合も同じです。
歩いているときに頭に浮かんでくる考え、つまり「反すう」を止めるためには、行動を使います。
たとえば、遠くの山々を眺める。
道の脇にそっと咲いている花に目をやる。
歩いている途中の筋肉の動きや呼吸の変化など、体の変化に意識を向ける。
そうすれば、自然に考えないですむようになります。